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矢巾町に「日本一小っちゃな本屋さん 分館」 震災の風化防ぎ、心の備え伝える

「日本一小っちゃな本屋さん 分館」に並ぶ4冊の絵本

「日本一小っちゃな本屋さん 分館」に並ぶ4冊の絵本

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 矢巾町在住の小松則也さんの自宅に10月、「日本一小(ち)っちゃな本屋さん 分館」が開設された。

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 「日本一小っちゃな本屋さん」の本店は大船渡市の則也さんの実家にあり、則也さんの母・フスミさんが店主を務める。取り扱うのは則也さんが手がける4冊の絵本。則也さんは東日本大震災をきっかけに、自身の経験や津波に直面した時にできることなどを伝えるために震災をテーマにした絵本を作り始め、読み聞かせ活動を続けている。「日本一小っちゃな本屋さん」も、震災復興を発信するために開いたという。

 則也さんが制作した絵本の一つが、2013(平成25)年に自費出版した「ふろしきづつみ」。震災の風化を防ごうという思いで、母や妹から聞き取った家族の震災体験を描いた。同絵本は岩手県の震災復興動画制作プロジェクトの原作として2017(平成29)年にドラマ化されたほか、さまざまなメディアに取り上げられたことをきっかけに話題を集め品切れ状態が続いていた。それを知った人から「再販してほしい」という匿名の寄付があり、絵本を増刷し今年販売を再開した。

 「寄付が届いた時は本当に驚いた。『ふろしきづつみ』が増刷できたのが、分館を開こうと思ったきっかけ」と則也さん。実家の大船渡だけではなく、今住んでいる矢巾町でも「日本一小っちゃな本屋さん」を通じた震災・防災学習の活動ができればと、自宅の一角に分館を開いた。

 分館でも則也さんが制作した「ふろしきづつみ」「吉浜のつなみ石」「浜の命」「もも色ゆうびんきょく」の4冊の絵本を並べ、閲覧と購入、本や震災についての話ができるようにしている。「ふろしきづつみ」以外は書店には並んでいないという。「絵本をたくさんの人に読んでもらい、震災に関心を持ってもらうためには、人と人の間で広まっていかないといけない。こんな絵本があるよ、こんな活動をしているよと知ってもらいたい気持ちもあって分館を開いた」と則也さん。

 対応は主に妻・美幸さんが担当。美幸さんは「何事も話すことが大切だと思う。絵本のことを話しながら、楽しんで皆さんとつながりたい」と話す。

 則也さんは「防災や減災の学び、震災の風化を防ぐための思いを伝えようと、いろんな視点で絵本を作ってきた。災害に対する物理的な備えはもちろんだが、心のあり方や備え方も一緒に伝えたい。この分館が学びの場の一つになれば」と話す。

 利用時は事前に電話(019-697-3718)で問い合わせを受け付け、開放できる日時を伝える。開放時間は1回1時間程度。

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