盛岡市が9月1日11時から、大地震の発生を想定した一斉防災訓練「盛岡市シェイクアウト」を実施する。

　シェイクアウトは2008年に米国で始まった、地震に備えるための防災訓練。「シェイクアウト」は「地震の揺れに備えろ」という安全行動の掛け声をイメージした造語で、日本では「一斉防災訓練」という意味でも通用しているという。参加者は、指定された日時にそれぞれの場所で、自分の身を守る行動を一斉に行う。

　盛岡市では2016（平成28）年から、毎年9月1日の「防災の日」に合わせてシェイクアウトを実施。会場の準備が不要で、天候や場所に左右されず、多くの人が同じ訓練を経験できるといった特長があるほか、基本的には同じ場所に大勢の人が集まる必要がないため、2020年からは「普段通りの新型コロナウイルス感染症の対策をしながら実施しやすい防災訓練」として参加を呼びかけている。

　今年のシェイクアウトは震度5弱、強い所で震度7を観測する地震が発生したことを想定。コミュニティーFM局「ラヂオもりおか」の放送、岩手県が運用する「いわてモバイルメール」からのメール配信、スマートフォンアプリ「ヤフー防災速報」のプッシュ通知を合図に訓練を開始する。

　参加者は自分がいるその場所で身を守るための3つの安全確保行動を実践する。「まず低く」＝地震の強い揺れで倒れる前に体勢を低くして地面に近づく。「頭を守り」＝固定された机などの下に入る。頭を守るものがない時は腕や荷物を使って守り、落下物や倒壊の恐れがない安全な場所へ避難する。「動かない」＝揺れが収まるまで動かない（訓練では約1分間）。

　市ではシェイクアウト終了後に「プラスワン訓練」として避難訓練や安否確認訓練、応急救護訓練、防災学習、備蓄品の確認、防災マップを使った危険箇所の確認などの実施も推奨している。参加者向けのアンケートへの協力も呼びかけている。

　現在、参加者の事前登録を市ウェブサイトの専用フォームなどで受け付けている。昨年度は、参加登録団体数が244団体、参加登録者数は4万2185人だった。

　市の担当者は「盛岡のシェイクアウトも長く継続してきた。昨年のアンケートでは『繰り返しの訓練が大事だ』という声が寄せられた。防災意識を向上するには普段からの訓練が大切。気軽に参加できる訓練なので、これをきっかけに防災に目を向けて」と呼びかける。