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岩手県立図書館「創立100周年展」始まる 明治から令和へ、長い歴史たどる

手前が初代岩手県立図書館の模型。奥のガラスケースには原敬からの書簡が展示されている

手前が初代岩手県立図書館の模型。奥のガラスケースには原敬からの書簡が展示されている

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 岩手県立図書館(盛岡市盛岡駅西通1)が現在、企画展「岩手県立図書館 創立100周年展」を開催している。

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 同館は1922(大正11)年4月に開館し、今年100周年を迎える。今回の企画展では、貴重な資料や書籍などを通して、図書館設立に向けた動きから現代まで、明治期から令和にかけての同館の歴史を紹介していく。同館企画広報課の小林亜衣さんは「展示を担当するに当たって県立図書館の歴史を調べ始めたら、100年はとんでもなく長いんだなと改めて実感した」と話す。

 展示は4章構成。第1章では「図書館の黎明(れいめい)」と題し、同館会館前の明治~大正前期の動きについて取り上げている。同館の基礎となったのが、盛岡で創立された「玉東舎(ぎょくとうしゃ)」という市内の読書家による団体だったという。「玉東舎」は会費を集めて書籍を購入し回覧する会員制の図書館を運営するとともに、市に蔵書を寄付するなど公共図書館の設立に向けた活動も行っていた。

 第2章から第4章までは、図書館開館後の様子や、大正から令和まで時代に合わせて変化した部分について紹介。2章では、1920(大正9)年に当時の首相・原敬が盛岡市長へ宛てて図書館の設計について助言する書簡を展示。原敬は故郷への図書館創設を強く望み、県知事や市長へ進言したほか、1万円と自身の蔵書を寄付した。原敬をはじめ、盛岡・岩手ゆかりの人物から寄贈された蔵書は「特殊文庫」という形で、現在も同館で活用されている。

 「原敬がいなければ、県立図書館の開館はなかなか進まず、もっと後の時代になったかもしれない」と小林さん。展示されている書簡の中で原敬は「書庫だけは初めから広く作るように」と2度も書いている。

 2章以降では、同館建設中や開館当時の閲覧室の様子、昭和時代に沿岸地域で開設された「海浜図書館」、蔵書を載せて県内を巡回した「自動車文庫・こまどり号」、所蔵資料を用いた図書展示など時代ごとの県立図書館の姿と活動を写真や新聞記事、書籍といった資料で紹介。開館当時の内丸から岩手公園、現在の「いわて県民情報交流センター アイーナ」に開館するまでの2度の移転についても取り上げる。

 4章では、平成から令和にかけての図書館の変化について紹介し、資料の電子化に関する取り組みや、蔵書検索の移り変わり、東日本大震災の影響を受けた支援活動などに触れる。このほか、展示コーナー内には内丸にあった初代図書館と岩手公園内にあった2代目図書館の模型が並び、開館時から発行を続ける同館の館報が読めるコーナーも設けた。第1号の館報からは歴史を、最新の館報からは職員の率直な意見を感じ取れるため面白いという。

 小林さんは「図書館が重ねた歴史の重み、そして時代の変化を感じられる。100年の歴史を皆さんと一緒に分かち合いたい」と呼び掛ける

 開館時間は9時~20時。期間中の休館日は2月28日、3月25日~31日、4月28日。5月5日まで。

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