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盛岡芸妓見習い「ひよ妓」募集 文化の継承目指し、育成環境改善

舞台で踊りや三味線を披露する盛岡芸妓の皆さん(盛岡芸妓後援会提供)

舞台で踊りや三味線を披露する盛岡芸妓の皆さん(盛岡芸妓後援会提供)

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 盛岡市と盛岡芸妓後援会などが現在、盛岡芸妓見習い「ひよ妓(こ)」を募集している。

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 盛岡芸妓は、踊りや長唄、常磐津などの芸事を身に付け、お座敷などで芸の披露とおもてなしを行う女性。明治時代から続く歴史がある一方、現役芸妓は高齢化が進み、舞台に出られるのは70代の3人を含めた4人だけとなり、消滅の危機を迎えている。

 市では2009(平成21)年度に芸妓の育成を開始。現在は盛岡芸妓後援会の事務局がある盛岡商工会議所が担い手となり、2015(平成27)年からは「ひよ妓」という名称で希望者を募っているが、ここ数年は応募者が減少し、現在は育成者なしの状況になっている。ひよ妓から一人前の盛岡芸妓になるまでは2、3年程度の修業が必要とされているが、ひよ妓の間は基本的に給与がなく、生活不安により断念する人がいることが課題となっていた。

 その対策として募集方法を見直し、盛岡芸妓に関連したイベントなどを運営してきた「盛岡観光コンベンション協会」と「いわてアートサポートセンター」が新たに育成活動に加わる。今回は、ひよ妓としての2年間の研修期間中、いわてアートサポートセンターが雇用し、給与を支払う形とした。半日は同センターが運営する「もりおか町家物語館」の仕事に取り組み、半日は育成指導時間となり育成プログラムに参加する。

 育成プログラムの内容も充実させ、踊りや唄、三味線の稽古のほか、おもてなし大使や観光大使的な役割を担えるように盛岡の観光文化知識、茶道などの訓練指導も受ける。ひよ妓の研修期間中、宴席での接待業務はないが、盛岡観光コンベンション協会が企画する「盛岡芸妓お座敷体験会」の手伝いや、発表会への出演などを予定している。

 盛岡芸妓の高齢化は、指導者の減少という課題も抱える。盛岡商工会議所の工藤純さんは「このまま現役の芸妓が減っていけば、盛岡芸妓としての作法や歴史などを教える人もいなくなってしまう。芸妓文化はこの先も生かしていけるポテンシャルを持つものだと考えているので、盛岡の貴重な文化に触れてみたい、それを引き継ぎたいと思っている人に応募してもらえれば」と呼びかける。

 応募資格は18歳以上の女性で、踊りなどの経験は問わない。未経験の場合も一から指導を行う。定員は2人。応募者は盛岡芸妓後援会まで履歴書を送付する。募集概要は同後援会のウェブサイトに掲載する。締め切りは4月30日。

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