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県立博物館で「金田一家収蔵資料展」 金田一勝定の隠れた一面も取り上げて

大きなケースに71枚もの賞状類が並ぶ圧巻の展示

大きなケースに71枚もの賞状類が並ぶ圧巻の展示

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 岩手県立博物館(盛岡市上田)で現在、テーマ展「金田一家収蔵資料展-金田一勝定を中心に-」が開かれている。

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 同展で展示しているのは、市内の「金田一駐車場」が所有する蔵で保存されていた金田一家に関する資料の一部。2002(平成14)年から現在までに同館へ寄贈された1392点のうち、124点を展示する。今回の展示は博物館活動の根幹でもある、資料収集と調査研究の成果を広く公表するために企画したという。

 金田一家は言語学者の金田一京助のほか、その伯父で盛岡銀行や岩手軽便鉄道を創業した金田一勝定などが生まれた名家としても知られる。今回は勝定に関する資料を中心に、勝定へ贈られた当選証書や辞令、感謝状などの賞状類をメインに取り上げる。

 展示を担当する菅野誠喜さんは「勝定は実業家としての面が有名だが、実は福祉事業にも尽力していた。その面をもっと知ってもらいたいと思い展示構成を考えた。71枚の賞状類を並べたが、そのうち感謝状は40枚以上になる」と話す。

 感謝状の中には寄付に関するものも多く、小学校の建築費や道路用の土地などを寄付している。「盛岡停車場に通ずる道路橋梁(きょうりょう)買収費として60円寄付」という内容の感謝状もあり、「恐らく現在の開運橋ではないかと推測される」と菅野さん。「こうして見ると実業家として稼いだものを福祉事業に使っていたことも分かってくる」とも。

 勝定の実業家の面にも触れ、経費や支出などの記録を付けた大福帳や当座帳なども展示。勝定の死後に関する資料では、渋沢栄一や高橋是清からの弔辞、原敬の名前がある「弔慰者芳名録」も並び、人脈の広さがうかがえる。

 資料や展示用ケースの配置にもこだわり、紙の資料をじっくり見てもらおうと立体物の展示は減らしている。普段の展示室の中央にも展示ケースを配置にしているが、今回は展示ケースを壁際に寄せ、一番大きなケースに並べた賞状類が一度に目に入るように工夫した。

 菅野さんは「展示に使っているパネルは鉄道、銀行、電気の順に並べていて、その理由は勝定の戒名にある。実際に展示を見て気付いてもらえたらうれしい。細部にまでこだわった内容。勝定の隠れた一面をじっくりと知ってもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~16時30分(最終入館は16時)。入館料は一般=310円、学生=140円、高校生以下無料。月曜休館。5月8日まで。

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