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盛岡のミニコミ誌「てくり」が15周年 よりぬき記事の総選挙も

「よりぬきてくり総選挙」の投票ができる「てくり」のインスタグラム

「よりぬきてくり総選挙」の投票ができる「てくり」のインスタグラム

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 盛岡のミニコミ誌「てくり」は現在、15周年を記念した「よりぬきてくり総選挙」を行っている。

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 「てくり」は2005(平成17)年創刊。フリーランスのライターやデザイナーとして活動する女性3人による「まちの編集室」が編集・発行を行っている。「盛岡のふだん」をテーマに、盛岡の文化や伝統工芸、風景、食、アートなどのテーマやそれに関わる人物を取り上げてきた。

 同誌の中でも、創刊号から13号までの初期号は再版を望む声やバンクナンバーの問い合わせが多いという。その一方で、該当号の在庫は無く、内容も古いため1冊ずつでの再版は難しい。「ニーズに応えたい」という思いはあるが、「どうしようか」とアイデアを考える中、人気のある記事をまとめた「よりぬき」の形にすればできるのではないかと思い付いた。

 そこで、創刊号から13号に掲載された記事の中から24記事を編集室の3人がピックアップ。インスタグラムアカウントを使い、各記事の写真に送られた「いいね」の数で投票を受け付けることにした。24記事は編集室のメンバーがそれぞれ思い入れのあるものや、楽しんでもらえると思ったもの、問い合わせが多いものを推薦。記事のタイトルページを撮影した写真と共にメンバーのコメントを添えて投稿している。

 編集室メンバーのデザイナー、木村敦子さんは「改めて読んでみると、全部いい記事だなと思う」と振り返る。「記事になっている店や人の中には、今はもう閉店してしまったものや亡くなってしまった人がいる。盛岡にあった文化として、懐かしく感じる人や新鮮に感じる世代がいるのではないか」とも。

 ライターの水野ひろ子さんは「作っている自分たちでさえ懐かしく感じるが、15年たっても意外と変わらない場所や風景もある。でも、人の変化は大きくて、盛岡は人が動く街だなと改めて感じた。創刊当時に盛岡にいた人は、今は県外にいるかもしれない。そういう人にも届けたい」と話す。

 投票は3月末で締め切り、「いいね」が多かった記事を中心に、追加取材なども加えて100ページほどの「よりぬき別冊」を制作。夏ごろの発売を目指す。24記事中にないものでも、「これが読みたい」というものがあればコメントなどでの意見も受け付ける。

 「また読みたいと思ってもらえることは編集者冥利(みょうり)に尽きる」と水野さん。「自分たちの興味があるものや面白そうなことを取り上げようとスタートして15年。そういう内容でもメディアとして成立する雑誌はすごいなと思う。インターネットの情報でも15年分さかのぼるのはちょっと難しい。紙で残す意味があったなと感じている。皆さんの期待に添える別冊になれば」と話す。

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