盛岡市在住のアート書道家・村上翠香さんの作品「椿魂-立ち上がる大船渡-」が「NY国際書道展2026春夏」で入選した。
「NY国際書道展2026春夏」はアートインキュベーション協会が主催する国際公募展。一般的な書の技術に加え、芸術性やメッセージ性、表現力などを重視して審査が行われ、入賞作品はニューヨークで行われる作品展で展示される。
村上さんは大船渡市出身。書道家の伯父の影響を受け、小学1年生から書道を始め、岩手県三陸地域の書道団体「三陸書人社」で指導を受けてきた。現在は盛岡市内でコーヒー豆の焙煎(ばいせん)と販売をしながら書道家として活動している。「コーヒーも書道も人と人をつなげてくれて、幸せと元気をお届けできるもの」と村上さん。コーヒーを通じて知り合った人から勧められ、書道のワークショップも開いている。ワークショップでは書の技術を伝えることよりも楽しむことに重点を置き、墨以外に絵具やラメ塗料などを使って、字を自由に書く楽しみを伝えているという。
活動を続ける中、「NY国際書道展2026春夏」の情報を見つけ、芸術性が審査される点に興味を持ち応募。初挑戦で入選を果たした。作品は大船渡市の花のツバキを題材にし、厳しい冬を越えて咲くツバキの花に、東日本大震災を乗り越えて決して折れない大船渡の魂を重ね合わせた「椿魂」の2文字で表現。文字の一部を半紙からはみ出して書くことで、力強さも表した。展覧会に向けて、風が強く深い三陸の海と青い空とツバキを描いた背景を加えた。
6月に入選の知らせを受けた村上さん。「驚きや喜びもあったが、ありがたいなという気持ちでいっぱい」と振り返る。大船渡の知人やコーヒーを購入している人とも喜びを分かち合った。作品はニューヨーク・マンハッタンの「ニューヨーク天理文化協会」で7月21日~27日に展示され、村上さんは25日に行われるレセプションに出席し、書道パフォーマンスを行う。パフォーマンスでは震災復興にまつわる思いも伝える予定。20日までクラウドファンディングを通じて渡航費用などに充てる資金を募り、返礼品として支援者の希望に沿った作品制作などを用意する。
村上さんは「もう緊張しているし、わくわくしている。現地の皆さんとまずは一緒に楽しみたい。震災から今まで、さまざまな思いを抱えて暮らしてきた人たちがいる。大船渡で復興に向けて頑張ってきた人も、大船渡を離れた人も、それぞれが地元への思いを持っている。そのことを風化させず、作品に込めて世界に伝えたい」と意気込む。