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岩手出身の小説家と漫画家がコラボ 小説から学び、相乗効果狙う

「冥界パティスリー第1話・世界を壊すケーキ」表紙©小学館

「冥界パティスリー第1話・世界を壊すケーキ」表紙©小学館

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 岩手出身の若手小説家と漫画家のコラボレーション作品「冥界パティスリー第1話・世界を壊すケーキ」の配信が3月18日、小学館電子書籍e-booksのオリジナル書き下ろし作品シリーズ「夢幻∞シリーズ」で始まった。

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 岩手の作家によるコラボは、若手漫画家の育成などを目的に発行している漫画誌「いわてマガジン」でスタート。ストーリー作りを学ぶ方法として小説に触れる機会を増やそうと、同誌の中で「夢幻∞シリーズ」に掲載されていた平谷美樹さんの「百夜・百鬼夜行帖(ちょう)」シリーズを原作にした漫画の掲載を2020年に始めた。

 その後、「夢幻∞シリーズ」で盛岡出身の小説家、南海遊(みなみあそ?)さんによる「箒(ほうき)の騎士」と、綿世景(わたせけい)さんによる「修繕あかしの思い出巡り」が連載されることになり、「いわてマガジン」側から岩手のクリエーターが表紙と挿絵を担当するアイデアを提案し、同シリーズでのコラボが始まった。「箒の騎士」は弥七さん、「修繕あかしの思い出巡り」は薫子さんが表紙と挿絵を担当。どちらも盛岡市在住で、「いわてマガジン」で漫画を連載している。

 「いわてマガジン」の編集長・杉田靖子さんは「表紙や挿絵を描くには、小説をしっかり細部まで読み込む必要がある。その過程でストーリーの作り方を学び、読解力や想像力を付けることもできる。2人とも表現の力が付いてきたように感じる」と話す。

 先に配信された2作品の評価を受けて、「冥界パティスリー」のコラボが決まったという。同作は、幽霊や妖怪が集まる「乞骨(こうぼね)商店街」にある洋菓子店「睡蓮(すいれん)堂」を舞台に、商店街に迷い込んだ主人公が幽霊にケーキを食べさせて成仏してもらう仕事を始める物語。小説は盛岡市在住の大平しおりさん、絵を北上市在住のゆうしようさんが手がける。

 現世と天国の間の世界を描く大平さんの作品に、はかなげな雰囲気のあるゆうしようさんの絵と相性が良いという点から、描き手に推薦されたという。コラボを通じ、ゆうしようさんの絵から大平さんのイメージが広がり、「話の展開に取り入れたい」という話もあり、絵が小説に影響を与える相乗効果も生まれている。

 今回のコラボを通じて若手漫画家が次のステップへ進むことも目指す。実際にコラボ作品の配信後、薫子さんは今年3月に漫画家としてデビューし、弥七さんは企業からキャラクター制作の依頼を受けた。「いわてマガジンで執筆することで、多くの人の目に触れる機会が生まれ、次の仕事につながるという仕組みが広まれば」と杉田さん。「『冥界パティスリー』は怖い話ではなく、優しさと温かさにあふれた作品。ゆうしようさんの挿絵も、確かなデッサン力でそのすてきな世界観を表現している。たくさんの人に読んでもらいたい」と呼びかける。

 1作220円。奇数月の第3金曜に最新話を公開予定。

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