
滝沢市が現在、伝統行事「チャグチャグ馬コ(うまっこ)」の継承を目的に、ふるさと納税制度を活用して寄付を受け付けている。
「チャグチャグ馬コ」は、農耕馬の勤労へ感謝といたわりの気持ちを込め、愛馬の無病息災を願って行われる伝統的な祭り。毎年6月第2土曜に開催され、鈴が付いた色鮮やかな装束を身にまとった馬が滝沢市の鬼越蒼前(おにこしそうぜん)神社から盛岡市の盛岡八幡宮までの約14キロを行進。鈴の音が「チャグチャグ」と聞こえることが名称の由来とされている。
現代では馬が農作業をする機会は少なく、滝沢市内の農耕馬の飼育頭数も減少。装束をまとって行進に参加する「装束馬」の頭数も減り、県内外から馬を借りて行事を実施している。同市では、馬の資源確保のために2頭の雌の馬を所有しているほか、2023年からはふるさと納税制度を活用したクラウドファンディング「ガバメントクラウドファンディング」を通じて寄付金を募っている。
昨年は延べ127人から170万円の支援があり、「ずっと続いてほしい」「文化と伝統を継承して」「ずっとずっと受け継がれていってほしい」といったコメントが寄せられた。滝沢市観光物産課の担当者・齊藤一真さんは「クラウドファンディングを通じて、チャグチャグ馬コという馬を愛する文化とその現状を多くの皆さんに知ってもらい、ファンになってもらえたと思う」と話す。
今年は「継続した支援」を目標の一つに掲げる。市有馬の飼育には大きな資金負担が伴うほか、馬が身に着ける装束や装飾品を継承することも課題となっている。装束の作り方を知る人が少なく、知っている人から教わりながら制作するため、馬の全身分の装束が完成するまでには数年かかるという。装束を作るための道具の製作や材料集め、馬の体格に合わせた調整にも時間や資金が必要となる。集まった資金は市有馬の維持や装束代、行事当日以外で馬を活用できる場の創出などに活用する。
「チャグチャグ馬コは毎年開催されるので、一度で全ての問題が解決されるわけではない」と齊藤さん。「今、馬を育てている馬主の皆さんへの継続的な支援が必要。まずはチャグチャグ馬コに来て、見て、体験してもらいたい。その後、華やかなだけではないチャグチャグ馬コの現状や課題を知ってもらえれば」と呼びかける。
目標金額は100万円。7月5日まで。