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盛岡・アロニア甘酒発売へ アロニアの需要増加、産地の継続を

12月18日に一般販売される「アロニア甘酒」。鮮やかな色もアロニアの特徴

12月18日に一般販売される「アロニア甘酒」。鮮やかな色もアロニアの特徴

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 盛岡市砂子沢産アロニアを使った商品開発やアロニアの魅力発信などに取り組む「盛岡アロニア同盟」が12月18日、新商品「アロニア甘酒」を一般発売する。

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 「盛岡アロニア同盟」の始まりは、代表を務める田村瑠(りゅう)さんがアロニアの栽培や生産について興味を持ち、砂子沢アロニア生産組合にコンタクトを取ったことだったという。田村さんはアロニアに安定した需要がない現状を知り、需要をつくるためのブランディングについて考え始めた。

 「現在はアロニアを加工する業者ありきの生産体制になっている。つまりアロニアの加工品が売れなければ需要が無くなってしまうということ。安定した需要があるとは言えない」と田村さん。生産組合の協力の下、砂子沢産アロニアの第6次産業化に向けたブランド化や新商品の開発、販路拡大などに取り組む「盛岡アロニア同盟」を今年4月に立ち上げた。

 同盟では砂子沢産アロニアのブランド「SOME(ソーメ)」をプロデュース。アロニアと初めて出合う「初(そ)め」、深く浸透していく「染め」、さまざまな人や物を巻き込んで成長する「SOME」といった意味を込めて名付けた。

 同ブランドの初めての商品として、砂子沢産アロニア果汁に遠野市産の米で作った甘酒をブレンドした「アロニア甘酒」を開発した。アロニアはポリフェノールが多く含まれるため、独特のえぐみや渋みがあり、酸味も強く、果実として味の魅力は弱い。一方、ポリフェノールのほか多くの栄養素を含み、さまざまな健康効果も期待されている。そこで、健康志向の面から近年人気を得ている甘酒と組み合わせて甘さとコクを加えた。アロニア果汁も独自の製法で絞ることで渋みを抑え、果実が持つ香りと甘みを引き立てた。無添加、無着色、無加糖で、まろやかな風味とすっきりとした飲み口に仕上げた。

 「アロニア甘酒」はこれまで2回の試飲会を実施。アロニアの酸味や渋みをイメージする人は、無加糖であることに驚き、果実自体のおいしさが感じられると好評だったという。甘酒にはこうじを使っていないため、アルコールフリーでこうじや酒かすの香りが苦手な人でも飲みやすいといい、子どもたちからも「おいしい」という声があった。

 同盟ではすでにオリジナルパッケージの冷凍アロニアの販売を行っているほか、今後は「SOME」商品の開発を進め、来年2月にはアロニアと県産食材を使った冷凍スムージーキットの発売も予定している。アロニアの商品開発と併せて、高齢化が進む砂子沢地区の文化と歴史の継承にも力を入れて取り組む。

 田村さんは「砂子沢で暮らしたい人、将来アロニアを育てたい人を獲得するためには、アロニアを持続して生産して、仕事にしていくことが重要。そのためには安定需要と、消費と販路の拡大が必要。アロニアは未来に残すべき食べ物。健康的な側面を知ってもらい、まずは手に取ってもらい、興味を持ってもらいたい。その時のストーリーとして、砂子沢のことも知ってほしい」と呼び掛ける。

 価格は720ミリリットル入り=2,400円。「カワトク」と「フラワー&ファーマーズマーケット Mファーム」で取り扱う。

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