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盛岡で「老ねこハウス」開所を目指すプロジェクト 猫の介護に啓発も

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 野良猫の保護や里親募集型猫カフェの運営などを行うNPO法人「もりねこ」が現在、高齢の猫や病気を抱える猫のケアを専門とした終生飼養施設「しっぽのおうち」の開所を目指すプロジェクトに取り組んでいる。

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 同法人では、野良猫や捨て猫を引き取り新しい飼い主を探す「保護猫カフェ」と感染症や障がいを抱える猫を保護するシェルター施設を運営。2017(平成29)年には、盛岡市保健所との共同事業で、保健所で保護された猫の一時預かりボランティアを募集し、医療品・消耗品の支援を行うプロジェクトをスタートさせ、猫の殺処分実質ゼロを実現している。

 一方で、高齢の猫や病気を抱える猫の引き取りは増加しているという。こういった猫は譲渡先も少なく、同法人が運営する施設で最期を迎えるケースも多い。病気や障がいを抱える猫や高齢の猫には特別なケアや介護が必要となるため、スタッフへの負担も大きくなっていた。

 同法人理事長の工藤幸枝さんは「常に50匹ほどの猫の世話、掃除、店の運営、猫の受け入れと譲渡先とのやり取りなど、さまざまな仕事を並行して行う中で、猫の一匹一匹と向き合う時間が限られてきている。高齢の猫や特別なケアが必要な猫には、ゆっくりと過ごせる時間が必要だと常々感じていた。いろんな形の保護の場所を作ってやりたい」と話す。

 同法人では3年ほど前から、高齢や病気の猫に専用施設を作ろうと準備をスタート。その思いに賛同したのが千葉俊喜さんで、同時期にペットの介護や看護を学んでいた。千葉さんは、祖父母から引き継いだ古民家を利用して病気の猫のための施設を作ろうとしていたという。そこで古民家を改修し、高齢猫と病気の猫が安心して暮らせる施設「しっぽのおうち」を立ち上げた。現在、「しっぽのおうち」には同法人が保護した8匹の猫が暮らし、千葉さんが施設の「かんちょ(館長)」としてケアを行っている。

 「しっぽのおうち」では今後、法人が保護した猫だけではなく、外部から受け入れを行う「保護猫の特別ケアホーム兼老猫ホーム」としての事業化を目指すほか、飼い猫の医療費や老後・介護についての啓発にも取り組みたいと、現在、クラウドファンディングで支援を募っている。

 クラウドファンディングでは、今秋の開所を目標に改装工事費や猫の治療・介護費などの支援を募る。目標金額は450万円。開始から1週間たたないうちに目標の半分近くまで寄付が集まった。コロナ禍の影響か、クラウドファンディングなどインターネットを通じた全国からの支援は増えてきているという。

 工藤さん自身もごく最近、飼い猫の介護やみとりを経験した。「実際に体験してみて思ったのは、心の負担と資金面の負担が大きいこと。通院や治療には時間もお金もかかる。飼い主が高齢化し猫の世話ができなくなるケースも多い。最近では、家にいる時間が増えたからとペットを飼う人もいる。いま一度、ペットの人生と老後について考えてみてほしい」と呼び掛ける。

 クラウドファンディングは8月8日まで。支援は一口3,000円以上。

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