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盛岡産リンゴで「すっぱさレベルX」のアップルパイ 秘密は「すっぱい爆弾」

リンゴの甘さとブルーベリーの酸味が交互にやって来る、まさに酸っぱさ未知数のアップルパイ

リンゴの甘さとブルーベリーの酸味が交互にやって来る、まさに酸っぱさ未知数のアップルパイ

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 「すっぱい林檎(りんご)の専門店。」(盛岡市上田1)が6月17日、盛岡産リンゴに酸味が強いブルーベリーを合わせた新商品「すっぱさレベルX(エックス)のアップルパイ」を発売した。

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 店名の通り、酸味が強い品種のリンゴにこだわり、ジュースやジャムなどを開発している同店。2019年からはアップルパイの販売をスタートし、好評を得ている。同店の特徴は、ジュースやアップルパイの酸っぱさを独自の基準「すっぱさレベル」に合わせて5段階に分けていること。酸っぱさにこだわる一方、甘めの商品は一定の人気があり、特にアップルパイは「すっぱさレベル」が低いものが売れているという。

 新商品に使うリンゴの品種は甘みのある「ふじ」。酸っぱさに特化した同店では主力商品ではなかった。商品化の背景にはリンゴ生産者に訪れたピンチがある。材料に使う「ふじ」は昨年、盛岡の生産者が収穫したものだが、その生産者にとっては豊作の年であり、収量の増加と規格外という点で行き場を失ったリンゴが多くあったという。同店店主の藤野里美さんの元にも関係者から「余ったリンゴの活用法を探している」という話が届き、原料として仕入れることとなった。

 同時期に藤野さんの耳に入ったのが、リンゴの花の霜の被害についての情報だった。春先に例年にない高温と霜が続いたことでリンゴの花のおしべとめしべが霜焼けし、受粉がうまくいかないことからリンゴの成長に影響が出そうだという話を聞いたほか、取引のある生産者から「いつも通り提供できないかもしれない」と報告があったという。

 藤野さんは「もともと酸味が強い珍しい品種を使っている店としては仕入れに影響が出るのが一番の不安。主力ではない甘いリンゴの活用方法についても真剣に検討しなくてはと思い始めた。でも、酸っぱくない商品を出すのは悔しいので、店ならではの商品を企画しようと考えていた」と話す。

 そこで目を付けたのが酸味の強い「ダロウ」という品種のブルーベリー。「ダロウ」も以前から岩手県内の生産者から仕入れていたもので、いつか商品化しようと試作を続け、機会をうかがっていた。甘いリンゴに酸っぱいブルーベリーを合わせることを思い付いた藤野さん。同店らしい「酸っぱいアップルパイ」が誕生した。

 「すっぱさレベルX」と名付けたのは、5段階では測れない、規格外で未知数の酸っぱさだから。メインとなる「ふじ」は他のアップルパイと同じく薄く切って生地の上に重ね、「ダロウ」は粒のまま丸ごと加えることで味にコントラストができ、リンゴの優しい甘さの後に「口がキューッとする」ようなブルーベリーの酸味がやってくるユニークな味わいに仕上げた。温めて食べると酸味が際立つのでお勧めだという。

 「ブルーベリーが『すっぱい爆弾』になっていて、口に入るとびっくりすると思う」と藤野さん。「甘さと酸っぱさを両方楽しんでもらいたい。まずはユニークな商品だと知ってもらって、その後、盛岡のリンゴと生産者、そして規格外のリンゴやフードロスといった課題についても知ってもらえたら」と呼び掛ける。

 店頭価格は1ピース=486円、ホール(7号・直径約21センチ)=3,888円。店頭のほか、ECサイトでも取り扱う予定。

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