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盛岡市先人記念館で「新渡戸稲造の遺品展」 ビクトリアと姉妹都市35周年記念

施設入り口の一角に設けられた展示コーナー。新渡戸の遺品などが並ぶ

施設入り口の一角に設けられた展示コーナー。新渡戸の遺品などが並ぶ

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 盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)の1階季節展示コーナー・油絵コーナーで現在、盛岡市・ビクトリア市姉妹都市提携35周年記念「太平洋の橋 新渡戸稲造の遺品展」が行われている。

新渡戸直筆の書が並ぶコーナー

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 盛岡市とカナダ・ビクトリア市との姉妹都市提携が今年35周年を迎えたのを記念するとともに、10月が新渡戸稲造の命日であることに合わせて企画された同展。盛岡出身の新渡戸稲造は1929(昭和4)年、太平洋周辺諸国の相互理解や課題解決などを目的に組織された民間学術団体「太平洋問題調査会」の理事長に就任し、国際人として活躍するなど大きな功績を残した。

 1933(昭和8)年に「太平洋問題調査会」の第5回大会がカナダで開催された時、新渡戸は体調が優れないまま出席。会議終了後、ビクトリア市の病院に入院し療養と手術を行ったものの回復せず、日本時間の10月16日に亡くなった。このことにちなんで、盛岡市とビクトリア市が姉妹都市提携を締結。ビクトリア市でも新渡戸の顕彰活動が行われてきたという。

 同展では新渡戸が使っていたとみられる品や直筆の書のほか、ビクトリア市との姉妹都市交流に関連したものを展示。新渡戸が使用していたトランクには「太平洋問題調査会」の第3回大会が京都で行われた時のステッカーも貼られている。晩年の書には「世を憂(うれ)え国を思う心あればこそ 年を忘れて西へ東へ」とあり、日本人として国内外で国際協調を訴えるも、なかなか理解されない状況に思い悩む心境を感じさせるという。

 「新渡戸は短歌などもよく詠んでいたようだが、有名な一節などを使った遠回しな表現が多く、心の内をストレートに表したものは珍しいと思う。それだけ状況が難しく、苦労していた時期だったというのも分かる」と同館学芸員。「常設展ではなかなか取り上げられない資料も並べた。日本の代表として国際的に活躍してきた側面を知ることを知ってもらえれば」と呼び掛ける。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。10月31日まで。

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