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野の花美術館で「深沢夫妻が愛した風景」展 焼け残ったスケッチも展示

アトリエ火災から奇跡的に焼け残った紅子さんのスケッチ。山中湖の風景が描かれている

アトリエ火災から奇跡的に焼け残った紅子さんのスケッチ。山中湖の風景が描かれている

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 「深沢紅子 野の花美術館」(盛岡市紺屋町)で現在、企画展「省三さん紅子さんが愛した風景 国内編」が開かれている。

省三さんが魅了されて描き続けた三陸の風景

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 盛岡出身の画家・深沢紅子の作品を展示・顕彰している同館。紅子の夫・省三も画家で、夫婦で共に岩手の美術教育の振興に奮闘してきた。同館では深沢夫婦の作品を共に知ってもらおうと、企画展などを通じて省三の作品も展示している。

 今回は2人の風景作品を中心に約60点を展示。紅子は野の花や人物画を描くことで知られているが、風景画もいくつかあるという。省三は風景画家として多くの作品を描き、特に岩手の三陸の風景に魅了され、沿岸の景色や海に向かう漁師の姿などを油彩や水彩、スケッチで残している。

 初展示の作品もあり、その一つが紅子がスケッチブックに描いた山中湖の風景画。晩年に見舞われたアトリエ火災から奇跡的に焼け残ったスケッチブックの中に、いくつかの風景スケッチが存在することが今年になって分かったという。見開きで富士山を望む山中湖の風景が描かれ、紙の端は焼け焦げている。

 風景画家として知られる省三が描いた花のスケッチも展示。学芸員の渡邊薫さんは「花の作品が多い紅子さんが描く風景、風景作品が多い省三さんが描く花。それぞれの個性がしっかりと出ていて面白い。そして火災から焼け残ったスケッチも含めて、3重の意味で貴重な企画展になっていると思う」と話す。「もともと省三さんのスケッチを紹介したいと思い準備を始めた展示なので、省三さんの風景画から伝わる画家として作品を作り上げる熱量やパワーも感じてほしい」とも。

 館長の廣嶼康子さんは「岩手の美術教育の礎を築いた2人。深沢夫妻の作品を共に紹介できることは本当に喜ばしい。紅子さんの風景スケッチはよくぞ残っていたと思う。画家として互いに高め合い、成長し、郷土に愛された2人の作品を楽しんで」と呼びかける。

 開館時間は10時~17時(最終日は15時まで)。月曜休館(祝祭日の場合は翌日)。入場料は大人=500円、高校生・大学生=300円、小・中学生=200円。8月17日まで。

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