伊藤忠商事(東京都)が所蔵する、英国の彫刻家ヘンリー・ムーアの大型ブロンズ像「ふたつに分けられた横たわる像:カット」の展示説明会が4月23日、岩手県立美術館(盛岡市本宮)で開かれた。
同作品は伊藤忠商事の本社ビルのエントランスロビーに1982(昭和57)年5月~2026年1月に展示されていたもの。同ビルを建て替えるに当たり、工事期間中に岩手県立美術館に貸し出されることになった。同館の前館長・藁谷収さんが、ムーア作品の世界有数のコレクションを所有する「彫刻の森美術館」(神奈川県)と交流があり、彫刻の森美術館からの推薦を受けて貸出先が決まったという。
「ふたつに分けられた横たわる像:カット」は、主要な制作テーマとしていた「横たわる人物像」のバリエーションの一つで、「カット」の名の通り、横向きの人体が垂直方向と水平方向の2つの塊に分けられているのが特徴。大きさは、高さ391センチ、幅454センチ、奥行き170センチ。1月に屋外展示に向けた修復作業を行い、3月に県立美術館に到着。4月から一般公開を始めた。
23日の展示説明会には県立美術館の長内努館長、伊藤忠商事の太田頼子さん、彫刻の森芸術文化財団の職員をはじめ関係者らが出席。貸し出しに至った経緯や、ムーアについて、作品の詳細を解説した。
長内さんは「自分も彫刻を専門としているので、美術館としても個人としてもうれしい。愛着や親しみを持って皆さんにも眺めてもらいたい」と笑顔を浮かべる。
太田さんは「ビルのロビーで訪れる人を迎えてきた彫刻。多くの社員や客人に親しまれてきた作品を、ビルの建て替えの間に人目のないところで保管するのではなく、めでてくれる人がいる場所に置きたいと考えていた。岩手県立美術館の屋外展示スペースの、山々が見えて広々とした空間に置かれているのを見て、倉庫などに入れなくて良かったと思っている。たくさん愛してもらえると、作品もうれしいと思う」と話す。
同作品の展示を契機に、11月には彫刻の森美術館所蔵品によるムーア作品の企画展開催も予定している。