学ぶ・知る

盛岡で大島高任生誕200年記念企画展 盛岡生まれの近代製鉄の父を知って

大島が建設に関わった大橋高炉と橋野高炉などについて解説する一角

大島が建設に関わった大橋高炉と橋野高炉などについて解説する一角

 橋野高炉(釜石市)の建設などに関わった大島高任の生誕200年を記念した企画展「大島高任-日本近代製鉄の夜明け-」が現在、盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で開かれている。

[広告]

 橋野高炉は現存する日本最古の高炉で、同高炉を含めた橋野鉄鉱山は、2015(平成27)年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界遺産に登録された。大島は盛岡出身で、盛岡市先人記念館で顕彰する先人の一人だが、関連資料の多くは釜石市にあり、同市の協力を得て、「釜石市立鉄の歴史館」所蔵資料を中心に展示する。

 担当学芸員の河野聡美さんは「橋野鉄鉱山の世界遺産登録から昨年で10周年、今年は生誕200年ということで釜石では『高任イヤー』で盛り上がっている。岩手で鉄の話といえばやはり釜石で、大島が盛岡出身であることは認知されづらい。出身地の盛岡でも盛り上げてほしいという釜石からの思いもあって、企画展を開くことができた」と話す。

 展示は4章構成で、大島の功績と生涯について順に解説する。「見どころは、大島が関わった茨城県の那珂湊反射炉と、釜石の大橋高炉・橋野高炉について触れる第2章」と河野さん。大島の履歴書や手記によると、西洋の技術や学問、兵法、砲術を学んでいたことが分かる。大島は水戸藩が計画した那珂湊反射炉建設の技術者として招かれ、その後、故郷に戻り、大橋高炉と橋野高炉を建設している。当時の日本において、ヨーロッパで発達した反射炉や高炉の知識を知る手段は一冊の洋書のみで、同書と複数の和訳本を参考に建設をしていたという。

 那珂湊反射炉では砂鉄を原料にした鉄で大砲を製造していたが、大砲により適した鉄鉱石を原料とした鉄を作るため、大島は良質な鉄鉱石を有する盛岡藩の鉱山に着目。高炉の動力となる川があり、鉄作りに使う木炭が入手しやすく、運搬の牛馬が確保できる環境がそろった釜石鉱山を建設地に選んだ。大島はまず、現在の釜石市甲子町大橋に「大橋高炉」を建設。同高炉で鉄鉱石を原料とする鉄の連続生産に成功し、これを受けて、橋野高炉を建設している。展示資料としては、鉄鉱石や木炭の分量を記録した大橋高炉の製鉄日記や、橋野高炉の絵図や模型、釜石で生産した鉄の売買に関する書面の写しなどが並ぶ。

 大橋は技術者育成のために洋学校の設立に取り組むほか、岩倉使節団の一員として諸外国の鉱山を視察したり、日本の各地の鉱山開発を指導したりしている。1886(明治19)年以降の大橋の履歴書には複数の鉱山局長を務めた記録が記されている。

 終盤の展示資料の一つ「世界遺産登録推薦書」では、大島が見開きで紹介されている。河野さんは「近代製鉄の父と称され、一冊の洋書を頼りに西洋の技術に挑み、世界遺産登録推薦書で大きく紹介されている人物が盛岡出身であるということをもっと広く知ってもらいたい。この展示がそのきっかけになれば」と話す。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(祝日の場合は翌平日)。入館料は一般=450円、高校生=300円、小・中学生=150円。11月23日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
ALL