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紫波町・日詰平井邸で醸造を再び 「みんなの家」としてよみがえる挑戦を

もち米の発芽玄米こうじを加えた「Re:vive(リヴァイブ)」のイメージ

もち米の発芽玄米こうじを加えた「Re:vive(リヴァイブ)」のイメージ

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 「平六醸造」(紫波町)が現在、紫波町内の国指定重要文化財「日詰平井邸(平井家住宅)」に残る仕込み蔵を、クラフトサケ醸造所として復活させる取り組みを進めている。

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 社長の平井佑樹さんは大学卒業後、家業である「菊の司酒造」で酒造りや営業、広報などに取り組んできたが、経営難から2021年3月に事業譲渡。2022年1月に退社し、活動の場を紫波に映した。同年2月からは平井さんの高祖父に当たる12代目平井六右衛門が完成させた「日詰平井邸」の利活用に取り組み、現在は地域イベントに併せて開放するほか、フォトウエディングやコンサート会場などとして利活用している。

 同邸の利活用を進めるに当たり平井さんは「現代によみがえれ」という思いを掲げた。平井さんは「よみがえるというのは、ただ建物をきれいにしたり活用を進めたりすることではなく、平井邸が持つ機能をよみがえらせることだと考えている」と話す。その一つは人が訪れ、集う「住居」としての機能、もう一つが「醸造」の機能だった。同邸母屋の奥には、酒の仕込みに使っていた蔵が残っている。

 「酒はもう造らないだろうと考えていた」と平井さんだが、平井家住宅が持つ機能を復活させるためにも「もう一度酒造りをやってみよう」と決心。多くの人の手助けを受けながら準備を進め、仕込み蔵を醸造所として復活させるプロジェクトを始めた。

 同醸造所で造る「クラフトサケ」は、日本酒の製造技術をベースに副原料を加え、日本酒としては法的に製造することができない製法によって酒造りを行う新しいジャンルの酒。酒税法上では「日本酒(清酒)」ではなく、「その他醸造酒」に該当する。

 現在は、もち米の発芽玄米こうじを加えた「Re:vive(リヴァイブ)」と、果物やスパイス、ハーブなどを使う「layer(レイヤー)」の2種類を開発中。「layer」にはブドウを採用予定で、どちらも紫波町の特産品を副原料に使い、紫波の風土を表現する。平井さんは「味のアプローチも発酵の仕方も日本酒と違うし、自由さがある。一から新しく学び、開発することは大変で難しいが、とても楽しいし面白い」と笑みを見せる。

 酒の開発や醸造所の設備を整えるための資金をクラウドファンディングを通じて募っている。2月14日にスタートすると当初の目標金額250万円を初日に達成。現在は1,000万円を目指し、継続している。

 「初日達成にはみんなで驚き、うれしさも感じた」と平井さん。「平井邸を生かすため、醸造が担う役割は大きいと考えている。ここからがスタート。長く続く事業を目指し、多くの人と関わりながら、平井邸を人が集う『みんなの家』にしていきたい」と意気込む。

 クラウドファンディングは4月8日まで。

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