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盛岡で映画「斬、」舞台あいさつ 映画館のスタッフも撮影に参加

舞台あいさつに登場した塚本晋也監督(右)と池松壮亮さん(左)

舞台あいさつに登場した塚本晋也監督(右)と池松壮亮さん(左)

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 映画「斬、(ざん)」の舞台あいさつが11月25日、「フォーラム盛岡」(盛岡市大通2)で行われた。

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 「斬、」は塚本晋也監督による初の時代劇作品。長い間平和が続いた後、開国するか否かで大きく揺れ動いていた江戸末期の江戸近郊の農村を舞台に、時代にほんろうされる一人の浪人・杢之進と彼に関わる人々を通し、生と死の問題に迫る。

 舞台あいさつには塚本監督と主人公の杢之進を演じる池松壮亮さんが登場。作品の構想は20年以上前から塚本監督の頭の中に合った「一本の刀を過剰に見つめる若い浪人」のアイデアだったという。

 塚本監督は「『野火』で戦争の恐怖を描き、不安や心配が晴れると思っていたが、実際はそうではなく、大きくなる不安や危機感で叫びたくなる。その叫びと頭の中のアイデアが合わさって形になったまさに叫びのような作品」と話した。池松さんは「この映画は刀という武器で傷付けあった時代から、今は心と心でつぶし合うようになった。舞台こそ江戸時代だが、平和がいつ終わるか分からない今の時代に対しての祈りや叫びが込められている。多くの人に見てもらえれば」と呼び掛けた。

 塚本監督自身も杢之進を京都の動乱へと誘う澤村という役を演じる。共演について池松さんは「塚本さんは監督としても俳優としても素晴らしい人。本当に特別な時間だった」と話し、塚本監督は「主人公を追い掛ける役は自分の十八番なので」と会場の笑いを誘った。

 作品の美術部の一員として「フォーラム盛岡」のスタッフ玉山佑典さんが参加。以前、ドラマの撮影に参加した際に出会ったスタッフから声を掛けられたのがきっかけとなった。小さい頃から映画好きで、映画監督になりたいという夢を持つ玉山さん。「こんな貴重な機会はない」と参加を決意。山形で行われた撮影に9月いっぱい加わった。

 玉山さんは持道具を担当。セットの建て込みや装飾のほか、役者が持つ刀や履き物の準備なども行った。玉山さんは「素晴らしい監督と俳優の皆さんと同じ空間で貴重な体験だった。エンドロールに自分の名前が出ているのを見た時は思わずガッツポーズをしたし、涙もあふれてきた。初めての経験で、今までに感じたことがない達成感がある」と話す。「自分が目指すところに塚本監督がいる。これからも美術スタッフなどを経験しながら、監督になる夢も諦めずに追い掛けたい。いつか盛岡出身の監督として知ってもらえるようになれば」とも。

 映画「斬、」はフォーラム盛岡で上映中。

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