障害者アートのライセンス管理や商品化を手がける「ヘラルボニー」(盛岡市開運橋通)と、南部せんべいなどを製造する「小松製菓」(二戸市)によるコラボレーション商品「choco nanbu MAGIC(チョコナンブマジック)」が、1月31日に発売される。
同商品は南部せんべいを細かく砕いてチョコレートで包んだ「チョコ南部」の新作。品質には問題ないが、形の悪さや欠けなどの理由によってはじかれるせんべいを砕き、フルーティーな味わいのグリーンカカオを使ったチョコレートと合わせ、2種類のベリーやパッションフルーツのドライフルーツをトッピングして板チョコ状に仕上げた。
パッケージデザインには「るんびにい美術館」(花巻市)を拠点に活動していた故・八重樫季良(きよし)さんの作品「(無題)」を起用。缶の容器は菓子を食べ終えた後も小物入れなどとして再利用できる。マーカーペンを画材に描かれた幾何学的なパターンが特徴のアート作品に合わせ、チョコレートの型には幾何学的なデザインで「南部せんべい」の文字が刻まれたモールドを使っている。
両社のコラボレーションは、小松製菓の職員が盛岡市内に飾ってあったヘラルボニーが管理する障害者アートを見たことや、ヘラルボニーの商品を愛用している職員がいることがきっかけとなった。長い時間をかけて構想を練る中で、小松製菓が掲げる「命を頂いて商品にしている」というコンセプトや商品にはならないせんべいを活用する取り組みと、ヘラルボニーが手がける事業や「異彩を、放て。」というミッションが重なり合ったことから、「choco nanbu MAGIC」が生まれたという。
10日に盛岡駅ビル「フェザン」で行われた記者発表には小松製菓社長の小松豊さんとヘラルボニーの共同代表・松田文登さんが出席。小松さんは「岩手に本社を置く企業の単なるコラボではなく、両者が創業以来持ち続けているコンセプトの融合」と強調し、「私たちが持っている命への思いや、ヘラルボニーが発信する異彩など、たくさんの考え方や魅力があるということをマジックという商品名に込めた」と話す。
松田さんは「南部せんべいは岩手県民の文化としてリスペクトできる食べ物。食べて終わりではなく、アートが手元に残ることで持続的な幸せにつながると感じている。まずはおいしそうだな、美しいなというフラットな視点から、食品ロスや障害を知るきっかけになれば」と話す。
価格は2,980円。3000個限定。小松製菓が運営する「南部せんべい乃巖手(いわて)屋直営店」と通販サイトなどで取り扱う。今月30日まで通販サイトで予約を受け付ける。