第18回盛岡の古町名展「肴町かいわい その2」が現在、盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で開催されている。
盛岡の古い地名に焦点を当て、その地域の歴史とゆかりのある先人たちを紹介する同展。2006(平成18)年度に始まり、2021年度の第15回「三戸町かいわい」で一巡した。2022年度からは2巡目に入り、前回の展示を参考にしながら新しい情報を加えた内容となっている。
今回は2008(平成20)年度に取り上げた「肴町」を再び紹介。2022年にリニューアルした盛岡バスセンターや、2024年に開業した複合商業施設「monaka(モナカ)」といった前回の展示から変化した部分に触れながら、現在の肴町商店街アーケード「ホットラインサカナチョウ」に沿って地域の歴史や現在まで商売を続ける老舗、先人を紹介する。
担当学芸員の中村晶子さんは「今の肴町は新しい施設や店も増え、多くの人が訪れる場所になったが、昔ながらの場所も残っている。今回の展示では老舗や特徴的な場所などを紹介しつつ、懐かしさを感じたり、『ここって、あそこだよね』と盛り上がったりできる展示にした」と話す。
展示は肴町の町名の由来を解説するパネルから始まる。魚を売る商人が多くいたことが由来の一つとされているが、旅館などが多い地域に近く、そこへ酒のさかなを提供していたためといった由来もあるという。古くは1644年の盛岡藩の家老による政務日誌「雑書」にも肴町の町名が見られ、藩政時代からの呼び名が残っていることが分かる。
町の老舗としては、永卯(ながう)、平金(ひらきん)、村源、スズエ印房、イズミヤ、現在は菜園に移転している川徳を紹介。店の成り立ちや歴史を解説し、かつて使われていた大福帳や看板、広告、包み紙、写真などの資料を展示する。先人は、「岩手毎日新聞」を創刊した高橋嘉太郎、肴町商店街アーケードから南大通方面へ続く「御幸新道(みゆきしんどう)」を整備した菊池金吾などを紹介。町の出来事としては1884(明治17)年の「河南大火」や、「肴町300年祭」の開催、肴町商店街振興組合と若者たちによる「4S会(同組合青年部)」の設立、川徳の移転からアーケード完成に至る経緯などを取り上げる。
「店の歴史を見ていくと、今とは違う商品を扱っていた店も多い。それぞれの成り立ちもユニークで、調査をする中で『そんな歴史があったのか』と驚くこともあった」と中村さん。「懐かしい写真やじっくり読むと面白い資料もあるので、一つ一つの資料をゆっくり眺めながら、現在の肴町に残り続ける歴史の数々を見つけてもらいたい」と呼びかける。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。月曜、毎月最終火曜休館。3月2日まで。