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盛岡市先人記念館で「惣門かいわい」展 歩いてみたくなる歴史と魅力伝える

「木津屋本店」が所有する火消し道具の一部。手前が昆布を使った「火叩き」

「木津屋本店」が所有する火消し道具の一部。手前が昆布を使った「火叩き」

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 盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で現在、「第17回 盛岡の古町名展 惣門かいわい~その2~」が開催されている。

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 「盛岡の古町名展」は市内の古い地名に焦点を当て、その地域の歴史や先人などを紹介する企画。地域住民からも好評で、リピーターも多いため2022年度から2周目に入り、前回の展示から変化した街の様子を交えながら各地域を取り上げている。

 「惣門かいわい」は、現在の南大通2丁目・3丁目と鉈屋町に広がる「穀町・新穀町・鉈屋町・川原町」に当たる。「惣門」は盛岡城下の出入り口8カ所に設けられた関門のこと。その中でも新穀町にあった惣門は、奥州街道や宮古街道といった大きな街道に面し、舟運の起点となった「新山河岸(しんざんがし)」も近かったことから人の出入りが多く、地名として残ったとされている。

 担当学芸員の坂本志野さんは「惣門は店の名前などにも使われていて、耳にしたことがある人も多いと思う。その一方で、『惣門って何、どの辺りのこと?』と疑問に思う人も少なくない。古い地名から地域の歴史を知る機会にしてもらいたい」と話す。

 現在の惣門かいわいでは、古い建物や街並みを守り、地域住民が保存活用に取り組んでいる。「地域を守るという点では、火消し道具が展示の見どころ」と坂本さん。地域の老舗として文具事務用品などを扱う「木津屋本店」を紹介する一角では、昆布に水を含ませて使う「火叩(たた)き」や皮張りのおけなど同社が所蔵する火消し道具の一部が並ぶ。

 1884(明治17)年に発生した「河南大火」では、下ノ橋の近くの監獄から出火し、惣門かいわいまで燃え広がったが、「木津屋の手前で火が止まった」という言い伝えがあるほど、火災に備えていたという。燃えにくい土蔵造りの店舗は現在も事務室として使われ、建物は岩手県の有形文化財、防火道具一式は市の文化財に指定されている。

 このほか、酒の地域や寺が多い地域という側面にも触れ、日本酒「岩手川」に関連した資料や、盛岡ゆかりの先人に関わる大慈寺と円光寺の2つの寺を紹介する。坂本さんは「岩手川の文字を見たら(CMソングの)『心の酒です、岩手川』と歌いたくなるかも」と笑顔を見せる。

 展示の最後では地域で取り組んでいる新しいイベントなどを紹介。坂本さんは「惣門かいわいでは、古き良き部分を大切に守り、新しいことに挑戦している。歩いて歴史を体感できるのが魅力の地域。展示を見た後に、足を運んでもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。月曜、毎月最終火曜休館。12月3日まで。

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