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もりおか歴史文化館で「温泉」がテーマの企画展 盛岡藩の「湯治事情」に迫る

15代盛岡藩主・南部利剛の「じっくり癒やす」湯治の行程を紹介するコーナー

15代盛岡藩主・南部利剛の「じっくり癒やす」湯治の行程を紹介するコーナー

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 もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、企画展「We Love 温泉!! -盛岡藩の湯治事情-」が開かれている。

藩主専用の浴槽「湯櫃」をイメージしたフォトスポット

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 「温泉好き」という同館学芸館の小原祐子さんが企画した同展。小原さんによると、江戸時代の盛岡藩の文書や日記などから温泉や湯治に関する記述が多く見つかったことから、「温泉と湯治」をテーマにした展示を企画したという。展示では、盛岡藩の人々による紀行文や記録、書簡など46点の資料から、当時の人々がどのように温泉に親しみ、湯治の旅に出掛けていたのかを紹介する。

 小原さんは「私たち現代人はどちらかといえば観光目的で温泉に行くことが多いが、江戸時代の人々は温泉で病気を治す『湯治』が主な目的だった。記録を見ると、治療を目的にしながらも観光や寄り道、訪れた場所で人との出会いを楽しんでいるので、そこは今も昔も変わらない温泉旅行の楽しさのようだ」と話す。

 展示は江戸時代の温泉や湯治の解説から始まり、資料から読み取れる「盛岡藩の湯治事情」を、「じっくり癒やす」「観光も充実」「ついでに温泉」「自宅で癒やす」の4テーマに分けて紹介。「盛岡藩の殿様はみんな温泉好きだったようだが、その中でも3代藩主の南部重直、8代藩主の利視(としみ)、15代藩主の利剛(としひさ)は温泉マニアと言える」と小原さん。重直は箱根や熱海へ湯治に出掛けた記録が確認されている。

 「じっくり癒やす」のテーマでは利剛、「観光も充実」では利視の湯治について紹介。利剛は現在の花巻市にある「鉛・大沢温泉」へ3回も湯治に出掛け、周辺の景勝地を8カ所選んでその情景を和歌や漢詩に詠んでいる。利視は領内の視察を兼ねて、現在の青森県の「下風呂温泉」と秋田県の「大湯温泉」に入湯。この時の湯治の旅は約1カ月におよび、牧野や地引網漁を視察し、各地の古跡や寺社などを訪れている。道中では捕まえた魚を盛岡城へ送ったり、俳諧の会を開いたりしていたという。

 藩主は湯治の際、専用の施設や「湯櫃(ゆびつ)」と呼ばれる専用の浴槽を使ったことから、展示室内には「湯櫃」をイメージしたフォトスポットも用意。温泉に入ったような姿で記念撮影できる。

 小原さんは「資料の中には『繋(つなぎ)』や『鶯宿(おうしゅく)』など県内の温泉地の名前が出てくるので、展示を見た後に実際の温泉に足を運んでもらえた。温泉に入ったら『盛岡の殿様も、ここの湯で癒やされたのか』と思いをはせてもらえたら」と話す。

  開館時間は9時~19時(入場受け付けは18時30分まで)。観覧料は、一般=300円、高校生=200円、小中学生=100円。、盛岡市内在住・就学の小中学生、市内在住の65歳以上は無料。7月7日まで。

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