特別展「竹下夢二の世界~セノオ楽譜の彩り~」が現在、盛岡てがみ館(盛岡市中ノ橋通1)で開かれている。
4月18日~5月31日に開催される「紺屋町かいわいスタンプラリー」に合わせて企画した同展。スタンプラリーのテーマが「音と音楽」だったことから、学芸員の中野千恵子さんが同館で収蔵する「セノオ楽譜」の展示を思いついた。セノオ楽譜は、音楽評論家で実業家の妹尾幸陽によって大正から昭和にかけて出版された楽譜。1曲または数曲が収められた「ピース楽譜」と呼ばれる形態で、庶民的な価格や、著名な画家が収録楽曲をイメージした表紙絵を手がけたことで評判だったという。
中野千恵子さんは「普段の企画展での展示資料は手紙が中心。特別展では手紙以外の資料を出したり、遊びのある展示を企画したりできるのが楽しい。セノオ楽譜も過去に何度か展示したことがあるようだが、展示室に出る機会は少ない」と話す。
竹久夢二は1916(大正5)年からセノオ楽譜の表紙絵を手がけ、1927(昭和2)年までに200点以上の表紙に絵を提供した。当時から夢二の人気は高く、楽譜としてだけではなく、美術品として収集するために購入する人も多かったという。同館の収蔵品の中には、絵が切り取られ、楽譜は一部しか残っていないセノオ楽譜もある。
今回は収蔵資料の中からセノオ楽譜34点と、関連書籍3点を展示。夢二が初めて表紙を手がけた「第12番 お江戸日本橋」を始め、うりざね顔に憂いのある表情が特徴的な「夢二式美人」を描いた絵、デザイナーとして書籍の装丁や広告の仕事も受けていた夢二のレタリング(文字装飾)への特徴がよく出ているが感じられる絵、アール・デコやアール・ヌーボーの要素を取り入れて描かれた外国音楽の絵、詩人としても活躍した夢二が作詞した曲の絵などが表紙に踊る。セノオ楽譜には夢二が作詞した曲が24曲載っているという。
中野さんは「男性を描いた絵や、文字を中心としたデザインなど、夢二作品としては珍しいものもあり、見ていて面白く、収集していた人の気持ちも分かる。セノオ楽譜を出版した妹尾も、表紙を描いた夢二も、大正時代の音楽と芸術を支えていたのではないかと考えられる。美しい表紙の数々から音楽を想像して楽しんで」と呼びかける。
開館時間は9時~18時(入館は17時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。盛岡市内の小・中学生と市内在住の65歳以上は無料。第2火曜休館。7月13日まで。