もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、テーマ展「干支(えと)コレクション-いく辰(たつ)・くる巳(み)-」が開かれている。
同館が収蔵する資料から、その年や翌年の干支に関するものを展示する同展。毎年、担当学芸員が中心となって干支にちなんだ資料を収蔵庫から探している。「巳年ということで、蛇に関する資料は多いかなと思っていたが、予想より少なかった」と担当学芸員の太田悌子さん。「今回は今年の干支の辰について振り返りつつ、巳について取り上げる内容になっている」と話す。
前半では竜と蛇の共通点も紹介。江戸時代の百科事典「和漢三才図会」では、竜と蛇が同じページで紹介されている。太田さんは「竜は十二支の中で唯一の架空の生き物で、蛇は実在する生き物だが、どちらも長い生き物つながりで同一視されるようなケースもあったようだ。蛇も竜も水の神として信仰されているところも共通点」と話す。
後半では巳年生まれの盛岡藩主や名前に「蛇」と付くさまざまな資料を紹介。巳年生まれの藩主は7代・南部利幹、13代・南部利済の2人を取り上げる。蛇に関連した資料は、蛇沼(いざるま)や蛇口という苗字の藩士について記述されたものや、蛇の絵、「蛇の目」の家紋、竜神が登場する演目で使われるという能面「男蛇(おとこじゃ)」、蛇を含めた虫の蒔絵(まきえ)で装飾された「丸形虫蒔絵菓子重」などを展示。このほか、江戸時代に使われていた干支で時間を表す時計や、干支で方位を表す和磁石も並ぶ。
同館がある「盛岡城跡公園」は草木が多く、蛇を見かけることもあるという。太田さんは「蛇は縁起が良い生き物だが、苦手な人も多いと思う。私も苦手なので公園の中で見かけるとびっくりする。でも、苦手だという気持ちも、神として信仰される対象への畏敬の念だと置き換えることができる。年末年始ならではの縁起の良い話題として楽しんでもらえれば」と呼びかける。
開館時間は9時~18時(入場受け付けは17時30分まで)。観覧料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。盛岡市内在住・就学の65歳以上と小・中学生は無料。第3火曜(祝休日の場合は翌平日)、12月31日、1月1日休館。4月14日まで。