岩手県と秋田県を結ぶJR田沢湖線の新駅「前潟駅」が3月18日に開業した。
同駅は盛岡駅と大釜駅の間に位置し、JR東日本盛岡支社管内の在来線で25年ぶりとなる新駅。地元7町内会による駅の誘致活動は2000(平成12)年に始まり、署名活動や盛岡市への陳情書の提出などに取り組んできた。その後、市は駅の設置について調査を行い、2020年にJRへ請願書を提出。2022年に工事が始まった。
敷地面積は約1200平方メートル。4両編成が停車できるホームと2両編成に対応した屋根、待合室を備えた無人駅で、駅入り口からホームまでのスロープも設置し、バリアフリーにも対応する。駅前広場には駐輪場やトイレ、車の乗降ができるロータリーを設ける。
18日に行われた開業セレモニーには、谷藤裕明盛岡市長、JR盛岡支社の久保公人社長、JR田沢湖線新駅誘致実現推進会の会長代理・橋爪純さんなど関係者らが出席。地域住民や鉄道愛好家なども集まり、地元の土淵伝統さんさやテープカット、くす玉割りで開業を祝った。
セレモニーの中で久保支社長は「20年以上前からの設置運動から始まり、今日の開業を皆さんと祝えることを喜ばしく思う。通勤や通学、買い物などに利用してもらい、地域課題でもある渋滞や混雑の緩和にも役立ちたい。多くの人が訪れる地域になれば」とあいさつ。橋爪さんは「新駅誘致の実現に向けた活動を続けてきて、今日を迎えたことは感慨深くこの上ない喜び。地域の玄関口として、街がにぎわうことに期待したい。今後は『おらほ』の駅として、環境美化にも努める」と喜びを表した。
セレモニーの後、盛岡駅から前潟駅に到着した列車を多くの人が出迎え、電車から降りた乗客らを「ようこそ」「いらしゃい」と歓迎。出発する電車に手を振って見送った。周辺に住む女性は「まさか自分の住む場所に駅ができるなんて。県外に旅行へ行く時、盛岡駅までタクシーやバスで行っていたが、これからは電車で行って新幹線に乗り換えられるので便利。中心部が近くなった感じがしてうれしい」と話した。