NPO法人「いわてアートサポートセンター」は現在、舞台「岬のマヨイガ」の出演者を募集している。
東日本大震災と遠野物語をモチーフに描いた同名の児童文学作品を舞台化。作者は「霧のむこうのふしぎな町」などの児童文学で知られる、岩手県出身で盛岡在住の柏葉幸子さんで、2014(平成26)年から2015(平成27)年にかけて、「岩手日報」で連載された。舞台化に当たっては盛岡第一高等学校出身の詩森ろばさんが脚本と演出を手掛ける。
同NPOでは、2016(平成28)年にも詩森さんが脚本・演出を担当した作品を上演。盛岡を含めた県内数カ所と、秋田、東京で公演を行った。今回は「東日本大震災」の発生から10年を迎える2021年の2月から3月にかけて、県内と東京での上演を予定している。作品自体が震災からの復興をテーマにしていることから、公演時期や内容と合わせてぴったり合う作品として選んだ。
物語の主人公は、両親を亡くし親戚に引き取られていく小学生・萌花と、夫の暴力から逃れるために東京から東北へ向かう女性・ゆりえ、2人を助ける不思議な老婆・山名キワの3人。同じ電車に乗り合わせた萌花とゆりえは、岩手沿岸の架空の町・狐崎の駅に降り立ち、そこで震災に遭う。津波から避難した避難所で身元を問われ困惑する2人に、キワが救いの手を差し伸べる。3人は岬に立った古いかやぶき屋根の家で共同生活を始めるが、震災によって封印が解かれた魔物が町に現れ、3人は民話に登場する岩手の妖怪たちの力を借りて魔物に立ち向かう。
舞台版のキャストには竹下景子さんや、栗田桃子さん(文学座)などが参加。一部出演者を盛岡と東京で行うオーディションで決定する。応募資格は18歳~60歳で、心身共に健康であれば性別は問わない。東京と宮古で行われる稽古と、全公演に参加可能なことが条件。応募人数は5~6人で、役柄は主人公の家族や狐崎の住人など。アンサンブルは人形操作も行う。
応募は、氏名・年齢・身長・出身地・芸歴などのプロフィル、住所・電話番号・メールアドレスなどの連絡先、希望のオーディション会場、顔写真(バストショット)の応募書類を、「いわてアートサポートセンター」まで郵送もしくはメールで送付。様式は問わない。岩手県在住者・出身者を優先する。オーディションは東京会場は4月14日、盛岡は4月19日を予定している。
同NPOの担当者は「物語自体はファンタジックな作品だが、震災からの再生テーマにした内容や、新しい絆を得て強く生きて行こうとする登場人物の姿は、震災復興の今と重なる部分があると思う。岩手と東京を行き来しての稽古・公演となり大変かとは思うが、本気で舞台に立ちたいという人にとっては大きなチャンス。挑戦してほしい」と呼び掛ける。
応募書類は3月31日必着。