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盛岡初の猫用品ブランドが爪とぎスタンド開発 伝統工芸の技術を取り入れて

3匹同時に「がりがりスタンド」で爪をとぐ様子(写真提供=クロス・クローバー・ジャパン)

3匹同時に「がりがりスタンド」で爪をとぐ様子(写真提供=クロス・クローバー・ジャパン)

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 猫用グッズの開発・販売を行う「クロス・クローバー・ジャパン」(盛岡市中央通1)が10月10日、岩谷堂箪笥(たんす)の技術を使った爪とぎスタンド「がりがりスタンド」を発売する。

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 同社は「猫の困り事を解決すること」を目標に掲げ、「猫目線のものづくり」を合言葉に、猫の生活に寄り添った商品開発を行っている。2010(平成22)年に自社ブランド「nekozuki(ねこずき)」を立ち上げ、今月10日に15周年を迎える。

 「nekozuki」の商品には全国各地の職人の技術を生かした物も多く、商品を実際に使って確かめる「猫社員」も協力している。社長の太野由佳子さんは「物作りはほとんど独学。職人の皆さんにたくさんのことを教えてもらった。猫と一緒に商品を作るのも面白い。飼い主の皆さんから寄せられる声を聞き、私たちにはまだできることがあるんだと続けてこられた」と振り返る。

 15周年の節目に合わせて発売する「がりがりスタンド」は、「爪とぎのかすで部屋が汚れる」「かすが猫の体に付くとなめてしまう」といった困り事を解決するために開発。県産材を使った木製のスタンドに段ボール製の爪とぎブロックを立てかけて使う。スタンドの下部にかすを受け止める引き出しを付けたが、湿度や気温の変化によって木が膨張し、開かなくなるのが試作段階で大きな課題となった。

 「どうしたらいいのか考える中、たんすの引き出しは開かなくならないと思い付いた」と太野さん。以前から交流があった岩谷堂箪笥職人に相談し、たんすに使われている木工技術を生かし、湿度や気温の影響を受けない構造を実現した。かすを受け止める部分は猫の口や手が入らないように格子状になっている。爪とぎブロックを交換すれば、スタンドは半永久的に繰り返し使えるという。

 猫が爪をとぎやすい高さや、体重をかけても倒れない重さ、部屋の中に置いても邪魔にならない大きさを求めて8年にわたって試作を繰り返したという。「大きすぎると猫は使わない、小さくすると安定せずに倒れてしまう。難しい開発だった」と太野さん。爪とぎを固定する溝の深さや形を何度も確かめ、夏と冬に引き出しがきちんと開くか確認。3匹の猫社員が実際に使ったことで完成となった。

 職人の技術を商品開発に生かすのは、後継者不足や需要の減少など伝統工芸が抱える課題の解決につなげ、新たな市場を開拓する考えがある。太野さんは「猫と飼い主が暮らしの中で抱える困り事はまだまだある。それを解決するための技術がどこかにあるはず。もっと職人の皆さんが持つ技術を知りたい」と意欲を見せる。

 価格は8万8,000円。受注生産で、オンラインショップ「nekozukiストア」で注文を受け付ける。

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