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岩手県立博物館でプロ棋士・小山四段のトピック展 これまでの道のりたどる

展示の最初にはプロ入りを決めた対局の盤面の再現も

展示の最初にはプロ入りを決めた対局の盤面の再現も

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 岩手県立博物館(盛岡市上田)で現在、釜石市出身の将棋プロ棋士・小山怜央四段について取り上げるトピック展「県出身者初のプロ棋士誕生」が開かれている。

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 将棋のプロ棋士になるためには、日本将棋連盟の棋士養成機関である奨励会に入会するか、アマチュアからプロへの編入試験を受ける必要がある。小山四段は小学生で将棋を始め、アマチュアの大会で優勝するなど腕を磨き、2008(平成20)年に奨励会入会試験、2015(平成27)年に奨励会編入試験に挑戦するもどちらも不合格に終わっていた。その後も大会や研究で腕を磨き、2022年に棋士編入試験の受験資格を獲得。2023年2月に試験に合格した。奨励会の経験がなくプロ棋士となるのは現行制度になってから初めてで、岩手出身のプロ棋士も初となる。

 同展を担当する学芸員の村田雄哉さんは将棋好きで、自身も将棋を指すという。小山四段がプロ棋士となったことを知り、その道のりを紹介したいと考えた。村田さんは「小山四段がプロになるまでの道のりにはたくさんの壁がある。それを乗り越えていったことを知ってもらいたかった。岩手で将棋を指す子どもたちや、プロを目指す子どもたちに『岩手からも目指せるよ、こういう道があるよ』と展示を通じて伝えたい」と話す。

 同展では、小山四段の主な戦績をパネルで紹介し、本人の愛用品や賞状・トロフィーといった戦績資料を並べる。小山四段は高校2年生の時に東日本大震災で被災。震災前の愛用品などはほとんど津波で流出してしまっているという。展示資料の一部には被災を逃れた戦績資料もある。愛用品としては、本人が読んでいた書籍や、将棋の駒、震災後に実家に飾られていた王将の飾り駒などを展示。本人が研究などに使っていた将棋盤では、プロ入りを決めた対局の盤面が再現されている。村田さんは「書籍は将棋を指す人ならおなじみの本ばかり。同じものを持っている人も多いと思うが、小山四段も読んでいたと知ると、少しうれしい気持ちになるのではないか」と話す。

 トピック展と合わせて、同館が収蔵する将棋の関連資料も展示。将棋の起源の一部や日本での広まりについて解説するとともに、定跡や詰め将棋の問題を載せた江戸時代の棋書を並べるほか、来場者に向けて詰め将棋の問題を3問用意した。

 村田さんは「将棋関連の資料も機会がないとなかなか出すことができないので、チャンスだと思った。この展示が岩手初のプロ棋士の小山四段の応援にもつながれば。展示を見た人が何か壁にぶつかった時、小山四段の道のりや活躍に思いをはせてもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~16時30分(最終入館は16時)。入館料は一般=330円、学生=150円、高校生以下無料。月曜休館(休日の場合は翌平日)。8月31日まで。

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