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盛岡市動物公園が産学官連携で自動給餌機開発 名前は「給ちゃん」

「ヘイネット降下型(ウインチ式)自動給餌機『給ちゃん6号』」から草を食べるマオの様子

「ヘイネット降下型(ウインチ式)自動給餌機『給ちゃん6号』」から草を食べるマオの様子

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 盛岡市動物公園ZOOMO(ズーモ、盛岡市新庄)が現在、「アニマルウエルフェア(動物の心身の状態)」の向上を目的に、アフリカゾウとキリンの自動給餌機「給ちゃん」の開発に取り組んでいる。

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 きっかけとなったのは、同園で飼育している雌のアフリカゾウ「マオ」。2018(平成30)年に雄の「たろう」が死に、現在は1頭で暮らしている。野生のアフリカゾウは群れで生活しているためか、たろうが死んでから、マオには不眠や食欲減退、同じ場所を行ったり来たりする「常同行動」などストレスが原因となる行動が見られるようになったという。そのため、同園ではマオの行動を24時間記録し、飼育方法を大幅に見直し、環境改善に取り組んできた。

 特にストレスが増えるのが、職員がいなくなる夜から朝の時間帯。屋内の寝室で過ごすこの時間を野生と同じような環境に近づけ、退屈な時間を減らすことが課題の一つとなっていた。特に、食事の時間を長くすることがポイントだという。野生のアフリカゾウは長い時には1日十数時間も採食行動に費やすことで知られているが、動物園では決まった時間に給餌を行うため、数十分で食べ終えてしまう場合もある。

 同園の広報担当の荒井雄大さんは「そうすると退屈な時間が増え、常同行動が現れる。常同行動は足への負担になり、体調不良や睡眠不足につながる。採食時間を長くすることで、ストレスを減らそうと考えた」と話す。

 採食時間を長くするため、2020年から自動給餌機の開発を始めた。多くの動物園では飼育係が手作りしている例もあるが、工学的な専門知識や材料が必要となる場合もあり、難易度が高いという。そこで、より効果的で精度の高い自動給餌の開発を目指し、盛岡市派遣の岩手大学共同研究員のコーディネートにより、同大学研究支援・産学連携センターと「いわて産業振興センター」の職員の協力を得た。

 「給ちゃん」は開発と改良を重ね、粒の細かい餌を投下するタイプや、ネットに入れた草を降下するタイプなど現在は6号まで製作している。マオの行動にも効果が表れ始め、寝起きから職員が来るまでの常同行動が減少し、採食時間が延びることで運動量も増え、睡眠不足も改善されているという。今後、さらに正確な調査を進めていく。

 「給ちゃん」はできる限り職員の手で製作とメンテナンスができること、材料が入手しやすいことを重視し、一部はインターネット通販サイト「Amazon」の「ほしい物リスト」を活用した寄付で賄っている。設計図や材料リストなどはホームページなどで公開し、同じ悩みを持つ全国の動物園に情報を提供し、すでに他園からも反応があるという。

 荒井さんは「データを取ることで他の動物園や水族館でも活用できる。情報や調査結果を発信することで、ZOOMOのファンの皆さんに動物たちの環境が改善されたか、自分の寄付がどのように役立っているか知ってもらえる。給ちゃんの開発は続いていくので、これからも見守ってもらいたい」と呼び掛ける。

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