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原敬の声を人工知能で再現 記念館で一般公開、小中学生の質問に答える

モニターに映し出された原敬の写真。再現された声に合わせて口が動く仕組みになっている

モニターに映し出された原敬の写真。再現された声に合わせて口が動く仕組みになっている

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 「原敬記念館」(盛岡市本宮4)で3月9日、原敬の声の「音声再現システム」の一般公開が始まった。

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 原の音声再現は、原敬100回忌記念事業の一環として、岩手県立大学ソフトウェア情報学部の榑松正樹准教授を中心に、4年前に研究が始まった。原の姿が映った映像は残っているものの、肉声を記録したものは見つかっていないという。今回の研究では原の最晩年、65歳の声をイメージして再現している。

 既存の声を変化させるボイスチェンジ方式を採用。顔の違いによって声が変化することを人工知能に学習させるため、岩手県内外の男性市長や町長など107人の音声と顔画像を収集。分析したデータを原の顔と照らし合わせ、「声が小さく、低い」「抑揚がない」といった文献や研究資料に残る情報を反映させた。

 音声は、原敬記念館の展示室でタッチパネル式のモニターで公開。原とゆかりがある市内の小中学校の児童・生徒から質問を集め、本人が書いた「原敬日記」や研究資料など史実に基づいた内容を原が再現音声で答える。

 質問は「政治」「生き方」「趣味・嗜好(しこう)」の3つのカテゴリーに分け、各カテゴリー5問ずつを用意。来館者が質問を選ぶと、原の画像が声に合わせて口が動く。「政治の話はやや速い」「趣味などについては抑揚がつく」という生前の情報がある。国会での演説についての質問には、きびきびとした早口で演説の内容の一部を読み上げ、「盛岡の好きな風景は?」という質問には穏やかな口調で、生家から見える岩手山の様子について答える。

 「原敬記念館」館長の山内昭さんは「ようやくお披露目できたという気持ち。研究を始めた時はもっと若々しい声だったが、改良を重ねて落ち着いた声とどっしりと包み込むような話し方になった。声が付くことで原さんがより身近な存在になると思う。たくさんの人に聞いてもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時(最終入館は16時30分)。月曜休館。入館料は、一般=200円、小・中学生=50円。

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