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漆塗りの自動車の鍵専用ケースが話題に ユーチューバーとコラボ、伝統広める

漆塗りのふたとアルミ削り出しのボディーが美しい「キーガレージ」

漆塗りのふたとアルミ削り出しのボディーが美しい「キーガレージ」

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 漆の精製加工・漆塗り製品の販売などを行う「浄法寺漆産業」(盛岡市北飯岡)が、ユーチューバー「クルマ買う系チャンネル『ワンソクtube』」とコラボレーションしたカーセキュリティー用品「KEY GARAGE(キーガレージ)」を発売した。

実際に車の鍵を入れた様子。ふたがしっかり閉じる範囲であれば複数の鍵を収納可能

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 「ワンソクtube」は自動車を購入し、実際に運転してレビューを行う動画を動画配信サイト「ユーチューブ」に投稿している。「浄法寺漆産業」の社長・松沢卓生さんも視聴者の一人として動画を楽しんでいるという。コラボレーションのきっかけは、動画内での「日本の産業を盛り上げたい」「伝統工芸やものづくり企業とコラボしたい」という呼び掛けを松沢さんが聞いたことだった。

 「動画の中では、『伝統工芸やものづくりに関わっていて、興味がある人がいたら連絡が欲しい』というような言葉もあったので、それなら漆を提案しようと連絡を取った」と松沢さん。コラボレーションがすぐに決まった。

 商品は「ワンソクtube」によるプロダクトブランド「MONObility(モノビリティ)」の第1弾として企画。車の鍵から発する微弱な電波をキャッチして増幅させ、車のロックを解除する盗難法「リレーアタック」を防ぐための自動車の鍵専用のケース「KEY GARAGE」を開発した。

 「KEY GARAGE」の筐体(きょうたい)はリレーアタックの電波を遮断するアルミ削り出しで、上ぶた部分が漆塗りになっている。中敷きには岩手県産のケヤキを使い、「MONObility」のロゴを入れた。

 開発に当たり、自動車産業にも関わる「村上商会」のアドバンス事業部デザイン試作部(一関市)がリレーアタックを防ぐための電波遮断力について実証実験を行い、最も効果があったのがアルミ削り出しの容器だったという。デザインとアルミの加工は同社、製造ディレクションは漆の植樹などに取り組む「NPO法人ウルシネクスト」が担当し、県内の職人が国産漆を上ぶたに塗って仕上げた。市販のケースは機能性とデザインが伴わないという側面からデザインにもこだわり、美しい質感や高級感にも重点を置いている。

 1月28日に販売を始めると、わずか4日間で当初の販売目標数100個に達した。「ワンソクtube」の動画で紹介したことで話題となり、特に高級車のオーナーから注目を集めた。現在も注文を受け付けているが、職人が手作業で仕上げている点や、予想以上の注文があったことから、発送は5月以降となっている。今後も継続して販売予定。

 「岩手の企業、職人、素材を使い、オール岩手で仕上げられた点がうれしい。ユーチューバーの影響力の高さに驚いている。県内では自動車産業も盛んなので、こうした異業種の組み合わせにはまだまだ可能性がある」と期待を寄せる松沢さん。「アルミと漆の質感は相性が良く、本当に美しい。車好きの皆さんに、好きなものを通じて漆を知ってもらえれば」と話す。

 サイズは直径100ミリ、高さ80ミリ。色は漆黒のブラックと朱塗りのレッドの2色。価格は1個=2万9,800円、2個セット=5万8,000円(いずれも送料込み)。浄法寺漆産業の通販サイト「葆光庵(ほうこうあん)」で取り扱う。

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