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小説「雲を紡ぐ」イメージの拠点が鉈屋町に 物語の世界と地域の魅力発信

町家の「見世」の部分に小説「雲を紡ぐ」のイメージをつくり上げた拠点ブックカフェ

町家の「見世」の部分に小説「雲を紡ぐ」のイメージをつくり上げた拠点ブックカフェ

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 「大慈清水御休み処(どころ)」(盛岡市鉈屋町)に10月15日、盛岡を舞台にした伊吹有喜さんによる小説「雲を紡ぐ」をテーマにした拠点ブックカフェが期間限定で開店した。

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 「雲を紡ぐ」は、東京で暮らしていた高校生・美緒と盛岡でホームスパン職人を務める祖父・紘治郎の関わりを通じて、親子3代の心模様を描く物語。作中には盛岡市内の風景や実在する店舗が登場し、紘治郎の工房「山崎工藝舎」のショールームのモデルとなっているのが盛岡町家「大慈清水御休み処」だという。

 拠点ブックカフェは、同小説と舞台となる盛岡の魅力を発信し、作品の映像化を目指す「『雲を紡ぐ』でつながろうプロジェクト」の一環として開かれ、プロジェクトに協力し、「大慈清水御休み処」を事務所として活動する「盛岡まち並み塾」が中心となって運営。物語の世界観を空間を通じて体験してもらうことをコンセプトに拠点づくりを行った。

 「大慈清水御休み処」は、普段から鉈屋町を訪れる人の観光案内所や地域住民も訪れる喫茶スペースとして営業している。今回は喫茶スペースにもなっている板間「見世(みせ)」の部分に「雲を紡ぐ」の世界を再現。物語に出てくるショールームも見世にホームスパンの織機が置いてあることから、見世の中央に織機を配置し、その周りには材料となる羊毛や糸、ホームスパンのマフラーなどの製品を展示し、ショールームの雰囲気をつくり出した。織機は盛岡スコーレ高校から借り受け、学校側が町家の雰囲気に合う形のものを選んで提供したという。ホームスパン製品は作者が取材に訪れた「中村工房」のものが並ぶ。

 作中には南部鉄器をはじめとする盛岡の工芸品や、「福田パン」や「コーヒー」といった盛岡の食べ物も登場することから、「雲を紡ぐ」の書籍と共に、盛岡の文化や工芸、食に関する書籍を紹介。選書は「さわや書店」が担当した。書籍やホームスパンはその場で購入することもできる。

 拠点内では登場人物のせりふや描写を引用して、織機やホームスパン、盛岡と鉈屋町などについて解説。喫茶メニューにも作中に登場する「カフェオレ」や「ホットシナモンアップルジュース」を用意する。

 「盛岡まち並み塾」事務局の岩見麻梨子さんは「小説を読んだ人が受け取った世界観を大切にすること、そしてまだ読んだことがない人に小説の魅力を届けること、盛岡と鉈屋町の日常の良さを伝えることに力を入れた。私たちが説明するより、物語に出てくる人物それぞれの表現で話してくれている。私たちは本を手引書にして作り上げただけ。小説を知る人も、知らない人も、一緒に作品と盛岡と鉈屋町、そして町家の良さに触れてもらいたい」と呼び掛ける。

 営業時間は10時~16時。水曜休館。11月28日まで。

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