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小説「雲を紡ぐ」と盛岡の魅力を広めるプロジェクト始動 自分のまちに愛着を

「雲つなもりおか」のインスタグラムより

「雲つなもりおか」のインスタグラムより

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 盛岡市を舞台にした小説「雲を紡ぐ」の映像化を目指し、作品と登場する地域の魅力を発信する「『雲を紡ぐ』でつながろうプロジェクト」が9月、始まった。

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 「雲を紡ぐ」は伊吹有喜さんによる小説。東京に暮らす高校生の美緒が、盛岡でホームスパン職人を務める祖父のもとへ家出してくるところから物語は始まる。ホームスパンの赤いショールをキーアイテムに美緒と祖父の関わりを通じ親子三代の心模様を描く。作中には盛岡の風景や実在する施設・店舗が登場し、物語に出てくる「ホームスパンのショウルーム」は盛岡町家「大慈清水御休み処」(鉈屋町)をモデルとする。

 プロジェクトを主催するのは、盛岡での暮らしの中から生まれた価値や魅力「盛岡ブランド」の普及啓発や情報発信に取り組む「盛岡ブランド市民推進委員会」で、盛岡市と「大慈清水御休み処」を拠点に活動する「盛岡まち並み塾」が共催、鉈屋町を中心に活動する学生と若手社会人有志による集い「もりおかワカものプロジェクト」が協力する。

 プロジェクトでは「雲を紡ぐ」の映像化を1つの目標としているが、盛岡が舞台になっている小説を通じて盛岡の魅力を発信するとともに、「市民がまちを知り、まちとつながり、愛着を持つこと」を目指し、今回は作中に多く登場する鉈屋町を中心に情報発信や拠点づくり、イベント実施などを行う。

 「盛岡まち並み塾」事務局の岩見麻梨子さんは「物語にはいろいろな立場やバックボーンを持つ人が出てきて、それぞれ悩みを持ちながらの互いに心を通わせようとしていところは地域の縮図のようで、たとえば、主人公の高校生は鉈屋町で活動する若者に、それを受け入れる祖父は鉈屋町に暮らす皆さんに、主人公の心を支えるホームスパンはこの地域にある歴史に、それぞれ通じるものがあると感じている。なぜ鉈屋町が舞台になったのか、この場所を訪れて一緒に想像してもらいたい」と話す。

 プロジェクトでは物語に登場する職人や盛岡の街並み、自転車、工芸などさまざまな要素をキーワードに展開。9月からインスタグラムと特設ホームページによる情報発信をスタートしている。インスタグラムには、作中で主人公がSNSに投稿する羊のマスコット「メイちゃん」をモチーフにした「今日の盛岡メイちゃん」も登場。物語とリンクするような内容も取り入れた。

 今後は、10月15日に「大慈清水御休み処」内に物語をイメージした拠点を開設する予定。ホームスパンの織り機や羊毛を展示し、書籍やホームスパンを手に取れるような場所を作る。拠点を活用した展示会も予定し、読者の表現の場として「『雲を紡ぐ』書評POPコンテスト」の作品も募集している。

 岩見さんは「まずは物語を知ってもらうこと、そして作品のファンや市民の皆さんに加わってもらうことが目標。長いスパンで取り組んでいくプロジェクトになるので、皆さんでつながって、盛岡と作品の魅力を紡いでいきたい。まちの良さは住んでいるあなたが紡ぐんだよという思いが伝われば」と話す。

 プロジェクトの最新情報はインスタグラムを中心に発信する。

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