伝統行事「チャグチャグ馬コ」を東京から応援する団体「東京チャグチャグ馬コ」は5月12日、インターネット上でチャグチャグ馬コのパレードを再現する写真地図「チャグチャグ馬コPhotoMap Suzunone ~すずのね~」を公開した。
同団体は2016(平成28)年に活動を開始。2019年からは農耕馬たちの支援や伝統民俗文化の保護などを目的に、クラウドファンディングを活用して支援金を募る「チャグチャグ馬コ共同馬主プロジェクト」を3年連続で実施している。
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて行事自体が中止になったことを受け、同団体では全国から集まった応援メッセージを盛岡と滝沢で展示する企画を急きょ立ち上げた。今年もクラウドファンディングの計画を進めると同時に、中止となった場合どうするべきか検討し続けてきた。
「Suzunone」の制作を考え始めたのは今年1月。「インターネット上でチャグチャグ馬コを再現したら、馬を飼っている人も祭りを楽しみにしている人も、支援者にも喜んでもらえるのではないか」と思い付いたという。同団体代表の斎藤正信さんは「感染症の心配をせずに遠くからでも楽しむことができる。これまで撮影した写真をアーカイブとして未来に伝えることもできる。感染しないパレード、遠隔でも見られるパレード、未来への記録としてのパレードということで制作した」と話す。
制作に当たっては、首都圏で暮らす盛岡の関係者によるコミュニティー「リトルもりおか」のメンバーが協力。「リトルもりおか」は昨年、「Google Earth」の機能を使って盛岡への「オンライン帰省」が楽しめるマップ「Kozukata(こずかた)」を公開していたことから、演出と監修を依頼した。「Suzunone」も「Google Earth」の機能を使用して作成。シンプルにチャグチャグ馬コを伝えることだけにこだわり、マップ上にパレードのルートを線で引き、馬コたちが列になって歩いて見えるようにイラストアイコンを配置してパレードを再現した。アイコンをクリックすると写真が見える仕組みで、イラストは県内の学生が手掛ける。
マップに使っている写真の多くは「東京チャグチャグ馬コ」の活動に参加した人が撮影したもの。作成に当たって写真がどれだけ集まるかがポイントになったといい、写真が少ない地域については、盛岡市や滝沢市、岩手県観光協会、滝沢市観光協会、県内新聞社などに協力を依頼した。一方で観覧の人気スポット以外の場所での写真はまだまだ少ない。現在はインスタグラムを通じ、「#チャグチャグ馬コPhotoMap」を付けて写真の投稿を募っている。投稿時には撮影場所とコメントを添え、メンバーが内容を精査した後、「Suzunone」に掲載していく予定。
斎藤さんは「僕たちのメッセージとしては、チャグチャグ馬コを伝える、ただそれだけ。言葉は分からなくても、写真があれば美しさや、馬を大切にする姿は伝えられる。この祭りを知らない世界中の人へ、未来の人へ魅力が広まればいいなと思う。時々パレードルートから離れて、その地域の地図を見て回るのも面白い。好きな方法でチャグチャグ馬コとマップを楽しんで」と呼び掛ける。