もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、テーマ展「被災地の今-復興、道半ば-」が開催されている。
今年、東日本大震災の発災から10年目を迎えることに合わせ、同館では1月から企画展「災害の記憶-盛岡藩の被災・救済・防災-」をスタート。江戸時代の盛岡藩領内で起きた自然災害をメインに取り上げている。企画展の関連企画として位置づけられているのが今回のテーマ展。東日本大震災当時から現在までの写真を展示し、内陸部の盛岡市民に向けて沿岸部の被災状況や復興の様子などを紹介する。
展示を担当したのは、震災時に盛岡にいた学芸員。展示の最初には学芸員の思いをつづった文章も掲示されている。資料は岩手県による「いわて震災津波アーカイブ~希望~」をはじめ、東北地方整備局の「震災伝承館」で公開されている写真や同館職員が撮影した写真、沿岸市町村で2011(平成23)年以降に刊行された広報誌が並ぶ。
展示されている写真のほとんどはインターネット上などで閲覧可能なものだが、写真や情報が公開されていることを知らない人も少なくない。企画展にも関わる学芸員は「100年前、200年前の盛岡で起きた災害も、残された記録を読み解くことで知ることができる。現代では、文字だけではなく写真や動画といった記録がある。今と昔の情報量の差、そして自分たちで手に入れられる情報があるんだと知ってもらうことが、企画展とテーマ展を同時にやる意味だと感じている」と話す。
写真は震災発生当時から復興の様子を時系列ごとに展示。定点撮影された画像や、広報誌の内容の変化からも復興状況を読み取ることができる。「岩手県の復興の歩み」と題したパネルも用意。データから震災時の状況などをまとめる。
東日本大震災に焦点を当てた展示は今回が初。2011年7月に開館した同館は、開館に向けた準備中だったという。2月13日に発生した地震でも幸い大きな被害はなかったが、「正直どきっとした。忘れるなよと言われているようにも感じた」と学芸員は話す。
関連事業として岩手県が制作したポスターを展示する「岩手県復興ポスター展」も開催。3月11日には展示室の無料開放も予定している。
学芸員は「内陸部にいる市民の皆さんに、沿岸の状況が少しでも伝わればと思う。東日本大震災について、今は個人個人が情報を探し集めること、情報源をたどって知ることができるということを知ってもらいたい」と呼び掛ける。
開館時間は9時~18時(入館は17時30分まで)。観覧料は、一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。盛岡市内在住で就学中の小中学生と65歳以上の人は無料。5月17日まで。