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岩手県立博物館で「化石の水族館」 生きていた時の様子を再現

水族館の水槽をイメージして作られた展示。化石の生き物が水の中を泳いでいるように見える

水族館の水槽をイメージして作られた展示。化石の生き物が水の中を泳いでいるように見える

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 岩手県立博物館(盛岡市上田)で現在、テーマ展「化石の水族館」が開催されている。

子どもたちに人気の「カンブリア紀」の展示

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 水の中で生きていた生き物の化石を水族館の水槽風に展示する同展。化石は展示ケースの中などに並べて展示されることが多い一方、「どれが化石なのか」「どういう生き物なのか」「どのように生きていたのか」という質問が多く、分かりづらいという課題もあるという。このイメージを払拭(ふっしょく)しようと、化石となった生き物が生きていた当時の様子を再現。化石に加え、砂地や生き物の模型を使い水族館風に展示することを担当学芸員の望月貴史さんが思い付いた。

 望月さんは「例えば皆さんがよく知るアンモナイトは、貝のような形なので、じっと動かないようなイメージを持っている人が多いと思う。実は、アンモナイトはイカやタコに近いと考えられていて、海の中を泳いでいたといわれている。今回は泳いでいる姿をイメージして上からつるすように展示している」と話す。

 展示は今から約5億7000万年前の「エディアカラ紀」という時代からスタートし、時代の流れに沿って化石を紹介。「エディアカラ紀」の海は、微生物が密集して形成される「微生物マット」で覆われた海底を再現した。続く「カンブリア紀」の展示は、三葉虫の化石や「アノマロカリス」など奇妙な生き物たちの模型を使い、特に子どもたちからの人気が高い。

 カンブリア紀以降の古生代のエリアでは、水の中の生き物たちがどのように変化していったかを紹介。岩手が暖かい海だったことを示す県内で見つかったサンゴの化石や、魚類、川などの淡水で生きていた両生類・爬虫(はちゅう)類などの化石が並ぶ。古生代の次の時代、中世代や新生代の海の展示では、アンモナイトを中心に、モササウルスなどの海の生き物がどのように暮らしていたかを紹介する。

 県内では海の生き物の化石が多く見つかっているといい、雫石町で多数見つかった「深海魚」の化石の展示は見どころの一つ。今回展示されているものは岩手の魚類学者・佐藤二郎さんによって発見され新種として報告されたものもあり、雫石町がかつて深い海の中にあったことが分かる。

 最後の展示では、化石になった生き物の生活を再現するに当たり「化石となった生き物の生活の様子を知る方法」のヒントとなる「生痕化石」を紹介。生痕化石は、生き物の行動の化石とも呼ばれ、巣穴の跡や歩いた跡、卵、ふんなどが化石となったもので、そこから生き物の暮らしを想像することができる。

 「われわれの研究も『この生き物はどう生きていたんだろう?』という想像から始まる。今回の展示を通して、皆さんも一緒に大昔の世界を想像してみてほしい」と望月さん。「岩手県はさまざまな時代の化石が出てくる珍しい地域でもある。県内で発見された化石も多く展示しているので、身近な場所で大きな発見があることも知ってもらいたい」と話す。

 開館時間は9時30分~16時30分(入館は16時まで)。入館料は一般=310円、学生=140円、高校生以下無料。5月6日まで。

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