岩手で活躍する若者を増やす活動に取り組む「ドリーム・シード・プロジェクト」が企画した、中高生を中心とした若者と共に「政治と選挙」について考えるイベント「gakusei~学政~」が中止となった。
同イベントは盛岡市の選挙管理委員会と協働事業で、これから選挙権を持つ中高生を中心とした学生や若者たちと大人が一緒に「政治と選挙」について学び、自分が暮らす地域や将来について考える機会にしてもらおうと企画した。
「ドリーム・シード・プロジェクト」では、昨年も選挙をテーマにしたイベントを実施。8月に行ったイベントでは盛岡市長選に合わせ、立候補者と若者との討論会も行った。今回の「学政」では、選挙が行われる時だけではなく、日常の中でも選挙や政治について考えてもらおうという意図も加え、選挙に関する基礎や昨年行われた選挙の投票率、候補者の得票率などの情報を学んだ後、市選挙管理委員会と中高生、来場者とのクロストークを予定していた。
イベントの開催日は公立高校の入試が行われる当日に設定。「長い春休みを有効活用してもらいたい」「入試でスタートラインに立つとともに社会の一員としても地域のことを考えるきっかけにしてほしい」などの思いも込めた。今年は3月6日を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い「3月2日から全国の小中学校・高校を休校とする」という政府からの要請を受け、中止を決断。同プロジェクトでは15日にも中高生を対象にしたプレゼンイベントを開催予定だったが、そちらも中止とした。
「学政」は来年も同じ内容で同時期に開催予定。プレゼンイベントも日程を変えて実施する考えがある。プロジェクトの代表を務める山崎智樹さんは「あくまで子どもたちが主体となるイベントだったので中止を選んだ。前向きにという思いはあるし、この事態を受けてどう感じたか、これからどんなことができるかという学びにもなるとも考えている」と話す。
山崎さんは学習塾「SoRa(ソラ)」の代表も務める。今回の要請を受け、塾のスタッフともさまざまなパターンに合わせた準備を進めた。現在は塾に通う児童・生徒に向けた学習管理やコーチング、オンライン授業に対応し、他塾へも情報や指導方法の共有を行っているという。通塾していない児童・生徒、親からの相談・問い合わせにも応じる。
子どもや学生を対象にしたイベントの中止を受け、支援を申し出る声も多い。市内の「喜雲寺」の副住職・佐々木秀吾さんもその一人。山崎さんがイベントの中止を告知した後、「何かサポートできないか」と声を掛けた。
佐々木さんは「お寺は古くから『寺子屋』という学びの場として使われてきた経緯がある。子どもたちや保護者の皆さんへのサポートができないかなと考えた。まだまだ予断ができない状況だが、冷静に振る舞うことや行動力を持つこと、情報リテラシーをもつことなどさまざまな学びもあると思う。世代を超えて、知恵を出し合い、連携できるのではないか」と話す。
「イベントはまた次の機会に開催できる。『学政』は来年リベンジしたい」と山崎さん。「せっかくなので子どもたちにも、いろいろと考える機会にしてもらいたい。大人たちも子どもを放っておくのではなく、できる限り寄り添ってほしい。みんなができることをして、チェーンのようにつながっていければ」と呼び掛ける。