市が公募設置管理制度(Park-PFI)を活用して行う「盛岡城跡公園芝生広場整備事業」に係る第1回懇話会が8月6日、「プラザおでって」(盛岡市中ノ橋通)で開催された。
Park-PFIは民間の力によって都市公園を整備する手法で、公園の再生や活性化を推進するもの。地方公共団体の限られた整備費や維持管理費の中で継続的な整備を行うために、公的資金だけではなく、民間資金の活用を進めていく。
「盛岡城跡公園芝生広場整備事業」の事業者にはファッションブランド「ミナ ペルホネン」を運営する東京都の「ミナ」が選ばれ、広場や植栽、公衆トイレの整備のほかカフェやギャラリー、地場産品などを扱う売店を併設した複合施設の設置を予定している。
同事業についての懇話会は、有識者や関係団体、市民からの意見を聞きながら計画策定を進めるために実施。1回目は、学識経験者や関係団体、市民による懇話会委員19人のうち、代理出席を含めた17人と、「ミナ ペルホネン」のデザイナー皆川明さんを含めた5人のオブザーバー、市職員による事務局が参加し、皆川さんと事務局による概要説明の後、委員たちがそれぞれの意見を話した。
学識経験者らは「ここ数年は公園の維持管理が危機的状況である」と指摘し、「史跡の価値を維持しながら新たな価値を与えられるかが重要なポイント」と話し、他の委員からも史跡との共存や景観との調和、文化財の保護を求める意見が出た。周辺商店街の関係者からは交流人口の増加や地域のシンボルとなること、周辺を通学する児童の安全の向上などへ期待する声もあった。
子どもの頃に公園で遊び思い入れがあるという委員も多く、「昔は子どもたちの遊び場だったが今はそうではない」「寂しくなった城跡ににぎわいが復活できるのでは」という声や、他県の城跡を例に出し「他の史跡では歴史資料的な静の部分と、にぎわいがある動の部分がある。城跡公園にも昔は動物園があったがなくなってしまった。芝生広場の近くに『もりおか歴史文化館』ができてにぎやかにはなったが、再整備が進めばもっとにぎわいが生まれるのでは」という意見も出た。
一方、事業へ疑問や不安を抱く委員からは、「もりおか歴史文化館」と役割が似ている点や姉妹都市のカナダ・ビクトリア市との交流の場所である点、芝生広場がイベントや祭りで利用されているといった観点からも考えるべきという声も上がった。特に、議論の材料となる建物の規模やイメージ図といった情報、詳細な具体案が分かる資料が足りないという指摘が多く、「なぜ事業が芝生広場で行われるのか説明がない」という意見もあった。
事務局側は「今回の懇話会は具体的な案を出して賛成か反対かを議論するのではなく、芝生広場に求めることや思い入れ、これからどうしていくかを出し合うもの。皆さんの指摘を踏まえて、次回からは議論の材料を提示していく」と説明。委員からも「情報が少なく、知らないことが多いから不安につながる。事業に関わる人がどんな人か知ることが、私たちにできる準備の1つだと思う」という声や、「情報不足が反対につながる。市はもっと丁寧に説明してほしい」と求める意見が出た。
懇話会は今後も継続して行われ、懇話会での意見はホームページで公表し、市民意見の募集も予定している。