岩手県は11月下旬、県外向け広報誌「いわて学」を発行した。
同誌は「黄金の國、いわて。」をキャッチコピーに、首都圏など県外を対象とした岩手をPRする目的で県総合政策部広聴広報課が企画したもの。達増拓也知事が県外向けの広報戦略として計画した、地域文化をブランド戦略に据える「いわてソフトパワー戦略」の一環として発行する。
人目を引く黄金色の表紙が特徴で、古風なタイトルに合わせて「和とじ風」に仕上げた。シリーズ4巻で、第1巻は岩手県の食文化を紹介する「滋味編(じみへん)」。その後、毎月下旬に来年2月までカテゴリー別に「伝承編」「時空編」「風土編」と続く。
同誌の表紙に取り入れた黄金色は、昨年の広報計画から継承された県のイメージカラーで、昨年度は東京都営地下鉄で同色の中づりポスターを掲出したほか、各駅でPR誌を無料配布した。このイメージカラー戦略は今年、月刊誌「日経デザイン」3月号で「自治体の持つ資産価値を底上げするコミュニケーション手法」として取り上げられ話題を集めた。
同課の齊籐信之統括課長は「岩手県にはこれまで、清貧というイメージがあったが、実は豊かな文化や自然がある。黄金はゴージャスな色と捉えられるが、むしろ『豊かさ』を象徴する色として採用した」とし、「金は変化しない鉱物なことから、『変わらない価値』や『信頼の象徴』として、例えば農産物や海産物など県の貴重な資源が安全で安心であることを表現したもの」と話す。ちなみに岩手県の食料自給率は2006年度概算値で105%と、日本全体の国内自給率39%を大きく上回っている。
体裁はA5サイズ、20ページ、オールカラー。発行部数は各4,500部で、首都圏を中心とした媒体や企業各社の広報担当部署、県文化大使などに送付するほか、ウェブサイトを通じて一般に先着300部を無料送付する。