地元の人が地元の魅力を発見・発信!「クリエイターの地産地消」目指して
提供:Rethink Creator PROJECT 制作:盛岡経済新聞編集部
「自ら考え、発信することができるクリエイターを創造していくプロジェクト「Rethink Creator PROJECT」の盛岡セミナーが9月13日、盛岡情報ビジネス専門学校(盛岡市中央通3)で開催されました。
「Rethink Creator PROJECT」は、これからの地域に必要な「自ら考え、発信することができるクリエイター」を、学びを通して創出していくプロジェクト。主催はクリエイターの育成などに取り組む「クリエイターズマッチ」(東京都渋谷区)、「JT Rethink PROJECT」を展開する「JT」(港区)とのコラボレーションで2018年にスタートしました。これまでに4000人以上が参加登録し、「地元を誰かにまかせない」というキャッチフレーズの下、全国30カ所以上でセミナーが開催されています。
プロジェクトのキーワードに掲げている「Rethink」は、身近なことについて少し視点を変えて考え、日常の中にある魅力を再発見すること。身近な暮らしの中にある魅力を発見し、クリエイティブで発信できる人を「Rethink Creator」と呼び、地元の人が地元の魅力を発見・発信する「クリエイターの地産地消」も目指します。
プロジェクトの思いを伝えるJTの大平崇依さん
JTたばこ事業本部マーケティンググループの大平崇依(すうい)さんは「先ほどから、私たちが『Rethink』という言葉を使っていて、何だろうと思っている人もいると思います。『Rethink』は、『JT Rethink PROJECT』が打ち出している概念。JTといえばたばこのイメージが強いと思いますが、吸う人吸わない人が共存できる社会を目指してたばこに関するマナー啓発や分煙活動を進めるなかで、吸わない人の気持ちを考えると、たばこそのものをRethink(視点を変えて考える)して、においや煙がない究極にクリーンなたばこ開発に挑戦していくことが大事なのではないかと考えました。その我々の思いを世の中の皆さんに伝えるうえで、生まれた言葉が「Rethink = 視点変えて考える」、JT Rethink PROJECTの始まりです。」と話し、「Rethinkは伝えるのが難しい感覚ですが、たばこに限らず、いろいろなところへ応用できる考え方。Rethinkの考え方を持つクリエイターが全国にいることで新しい雇用や仕事が生み出せたら良いなと思っている。セミナーを通してRethinkする面白さや情報発信する楽しさを感じてもらいたい」と参加者に思いを伝えました。
セミナーでは地域ならではの風景や物の写真を使い、「デザインと情報編集」をワークショップ形式で学んでいきます。盛岡セミナーはコミュニティFM局「ラヂオ・もりおか」の協力の下、盛岡市の後援を受けて開催。当日は20~40代の幅広い世代が参加し、デザイン未経験という人も多くいました。
講師を務めるのは、「クリエイターズマッチ」の羽室吉隆さんと、盛岡を拠点とするデザイン事務所「homesickdesign(ホームシックデザイン)」代表の清水真介さん。セミナーは、視点の変え方のコツや考え方を学ぶ「Rethink講座」からスタートします。
「クリエイターズマッチ」の羽室吉隆さん
羽室さんは「『パソコンがないとデザインはできない』と思っている人が多いかもしれない。でもそれは違っていて、脳みその中でもデザインをすることはできる。それを形にするのにパソコンが必要になるだけで、デザインは誰にだってできる」と参加者に呼び掛けました。
講座ではまず、地域の魅力を発見するために「視点を変えて考える=Rethinkする」ための3つのポイント、「Insight(インサイト)=内側を見る」「Filter(フィルター)=属性を見る」「CAPTA(カプタ)=印象を見る」を紹介。「Insight」は地域に住む人だからこそ知っている身近な情報のことで、「誰に向けるか」を設定するとより見えやすくなるといいます。清水さんが「何かデザインする時は、誰に見てほしいか、届いてほしいかを考えることが多くあります。例えば家族や友人でも良いし、僕は芸能人のあの人に見てほしいと思いながら作ることもありますよ」と解説すると、参加者からも笑顔がこぼれた。
「homesickdesign」代表の清水真介さん
続いて「Filter」の説明では羽室さんや清水さんが参加者とやり取りしながら、会場内の中から「丸いもの」「模様」「デザインされたもの」を探し、焦点を絞ることで情報が集まりやすいことを体験していきます。「盛岡三大麺」の盛岡冷麺・盛岡じゃじゃ麺・わんこそばを例に挙げ、盛岡を「おいしい盛岡の麺」というフィルターに通すと「盛岡三大麺」が見えてくると紹介しました。
説明に聞き入る参加者
「CAPTA」はスクリーンに移した写真を使いながら解説。「正確性があり、イメージを伴わない情報」であるDATA(データ)と、「正確性には欠けるが、自由にイメージや感情を伝える情報」のCAPTAの違いを説明した後に、盛岡の伝統行事「チャグチャグ馬コ」の写真から参加者が「DATE」と「CAPTA」をそれぞれ探すことに挑戦し、開催日や場所の情報はDATE、神々しいや華やかといった印象をCAPTAに当てはめていきます。
「CAPTA」情報を使うと、印象に残る表現やデザインにつながるということに触れ、3つのポイントを押さえた後は、いよいよ参加者がデザインを作っていく「Createワークショップ」に移ります。
ワークショップでは「神子田朝市のひっつみ」「中津川の鮎釣り」「岩洞湖のわかさぎ釣り」「早採れワカメのしゃぶしゃぶ」など、盛岡ならではの風景や食べ物の写真6枚を題材に、参加者がキャッチコピーを考えてポスターを作っていきます。
キャッチコピー作りは「撮影者の気持ちになって伝えたい相手を想像する(Insight)」「写真からキーワードとなる言葉をたくさん見つける(Filter)」「キーワードを入れてイメージを伝える(CAPTA)」の3つのステップで実践。各ステップ1分から3分ほどの短い時間で進めていき、参加者らは真剣な表情で与えられた写真に向き合って情報を集めていきます。
清水さんは「いいものを考えようとするのではなく、まずはたくさんアイデアを出してみましょう」と、羽室さんも「かっこつけないで、気軽にやってみて。意味不明な言葉や、自分が面白くないと感じたものも、意外に良かったりする」とアドバイスします。
思いついたキーワードはどんどんプリントへ書き込まれていく
キーワードを集めた後は、チームに分かれて1つキャッチコピーを作るグループワークが行われます。それぞれがキーワードを出し合いながらキャッチコピーを決めていきますが、時には笑い声が聞こえてくるほどの盛り上がりで、参加者からは「そのアイデア、いいね」「面白い発想だね」と互いに感心し合う様子も見られました。
グループワークの様子
決定したキャッチコピーはその場で写真に加えられ、参加者の目の前でポスターがデザインされていきます。フォントや文字の大きさ、キャッチコピーの位置もそれぞれのグループで指定し、講師陣がアドバイスしていきます。自分たちが考えたコピーがポスターになる様子に、参加者たちからも歓声が上がります。
こうして制作されたのがこちらの6点のポスターです!
ワークショップの最後には完成したコピーをチームの代表者が発表し、どのようなアイデアで作ったのか、写真のどこに注目したのかを、それぞれ紹介していきます。参加者は自分たち以外のチームの発想に驚いたり、うなずいたりしながら興味津々な様子で聞き入っていました。
キャッチコピーを発表する参加者
「早採れワカメのしゃぶしゃぶ」が題材だったチームは「ワカメ視点」からのキャッチコピーを制作。鍋に入ったワカメの色が鮮やかに変化することを「ぬくもりに触れて鮮やかに生きています」と表現しました。羽室さんは「ワカメのしゃぶしゃぶを食べたことはないし、色が変わることも知らなかった。これは地元ならではの発想で面白い」とコメント。
清水さんは「『一晩だけ』『思い出』といった時間の変化を感じる言葉や、『薄く』『のばす』のように文字数を合わせるところ、五・七・五調にまとめているところがうまいと感じた」と話し、「フォントの大きさを変えて伝えたいところの印象を強めるのもとても効果的」と評価します。
セミナーやワークショップで学んだことを生かした挑戦の場として、年3回開催するコンテスト「Rethink Creative Contest」が用意されています。誰もが参加することができ、セミナーと同じく地域を題材にした「Rethink Creator 賞」と「JT Rethink 賞」の2部門で作品を募集します。
コンテスト参加者は、年1回開催されるチャンピオンシップへの参加権が与えられ、チャンピオンシップでは年間最優秀作品を決定し、11月に東京で開催される「Rethink Creative AWARD」で作品の発表と表彰式が行われます。
ワークショップの最後に清水さんが「今日ここにいる皆さんは、同じ盛岡に住む人や近くの地域に住む人。もしかするとこれからどこかで顔を合わせることもあるかもしれないし、それがデザインの仕事の中になるかもしれない。今日教わったことを、自分の口でもSNSへの書き込みでも良いので、できる方法で発信してほしい」と参加者へ呼び掛けました。
参加者を対象にしたアンケートでは、ほとんどの人がセミナーの内容に「とても満足できた」「満足できた」と回答し、「デザインや魅力発見にかかるセミナーや研修が岩手だと少ないため、盛岡での開催が非常にうれしい」「自分たちで作った作品にクリエイター目線で評価がもらえて参考になった。これからもっと盛岡の良さを感じられるようなフィルターを自分なりに見つけていきたい」という感想が寄せられました。
今年のセミナーはこの後、奄美・仙台・高松・日向で開催を予定しています。詳細情報はセミナー参加申し込みリンクにてご確認ください。
今後のセミナー開催日程について
仙台セミナー
【定員】30名
【日時】10/5(土)14:00~16:30
【会場】デジタルハリウッドSTUDIO仙台
【住所】宮城県仙台市青葉区中央一丁目3番1号 AER 26階
高松セミナー
【定員】50名
【日時】10/13(日)14:00~16:30
【会場】香川産業頭脳化センター 2階一般研修室
【住所】香川県高松市林町2217-15
日向セミナー
【定員】30名
【日時】10/20(日)13:30~16:00
【会場】ひむか-Biz
【住所】宮崎県日向市鶴町2丁目7−13 ITセンター 1F