
盛岡市の農業生産額は県内2位、東北管内5位であり、岩手県の県庁所在地でありながら、農業生産地としての役割も担っています。一方で、農家数は急激に減少しており、かつ、高齢化と後継者不足も深刻化しています。農家の減少は一次産業の衰退だけではなく、鳥獣被害の増加など生活環境の悪化にもつながることから、生産面とともに消費の側面からも農業振興を図り、農業の持続的な発展を目指す必要があります。
以上から、盛岡市では令和6年度末に「第2期もりおかの食と農バリューアップ推進戦略」を策定し、「盛岡産農畜産物の高付加価値化と需要拡大」という目的の下、3つの施策(1.地域外の販売強化、2.地域内の食農教育、3.農業と他産業の連携)を展開しています。目指す将来像は「生産者・事業者・消費者が地域の食と農の価値を認識し、一体となって盛り上げるまち」です。この想いを端的に表したフレーズが「美食王国もりおか」であり、ロゴマークは、わんこそばのおわんと王冠をモチーフにしています。王冠部分は生産者・事業者・消費者の3者が1つの食卓を囲む様子を表しており、将来像を実現したいという思いを込めています。

令和7年度からは、施策3.農業と他産業の連携の一環として、
「美食王国もりおかイノベーション事業補助金」を開始しました。
本補助事業は、盛岡市の豊かな農畜産物を活用し、新商品の開発や販路の拡大を行おうとする市内外の事業者への支援を行うもので、盛岡産農畜産物の利用拡大とその産地としての認知度向上を目指しています。
補助事業の詳細を見る
今回、令和7年度に支援している三事業のうち、盛岡市内の洋菓子店である
株式会社タルトタタン(代表取締役:小松 豊)による、盛岡産米粉を使用した新スイーツブランド「コメとタタン」の販売が令和7年9月19日(金)に開始されました。
米の消費量が減少する中、株式会社タルトタタンは、盛岡市の米粉の魅力を全国に発信するとともに、地元産品の付加価値向上と地域経済の活性化を目指し、地元生産者と連携して米粉の新たな可能性を追求していました。その中で、補助事業による支援を受け、農事組合法人となんが生産する米を原料とする、高品質な盛岡産米粉を使用した新スイーツブランド「コメとタタン」が開発されました。
「盛岡の恵を『ほっ』とする一口に。」をコンセプトとする本ブランドは、地域の魅力を詰め込んだ新食感のスイーツを提供し、生産者と消費者の縁をつなぐものです。
開発者である同社の鶴尾製造部長は、「お菓子を通して召し上がるお客様、食材の生産者、お菓子を作る私たちとのつながりを作ることを目的として開発しました。岩手の食材を使用することで、そのお菓子だけでなく、食材そのものをお客様に情報として提供することができれば幸いです。」と述べています。
商品は令和7年9月19日(金)より、タルトタタン直営店各店、グループ直営店および公式通信販売にて好評販売中です。

米粉バウムパッケージ

米粉バウム

米粉ガレットパッケージ

米粉ガレット

株式会社タルトタタン 1999年に盛岡で開業した洋菓子店です。社名および店名である「タルトタタン」は、フランスの伝統的なりんごのお菓子「タルトタタン」の誕生にまつわるエピソードに由来しています。
岩手県がりんごの主要な産地であることから、この歴史的な菓子の名称を冠することで、岩手の地域性を生かした手作り感のある洋菓子を提供し、地域との結びつきを大切にするという想いが込められています。
公式HP:
https://www.tarte-tatin.jp/

農事組合法人となん 盛岡市都南地域で活動する営農組織で、農地や人と真摯に向き合い、地域との結びつきを大切にしています。約900haの田んぼで栽培される「銀河のしずく」や「ひとめぼれ」のほか、様々な品種のりんごを生産・販売しています。これらの農産物を使用した加工品も販売しています。
公式HP:
https://tonan-agricoop.jp/
<「美食王国もりおかイノベーション支援事業」について>
盛岡市では、今回紹介した事業のほか、下記の2事業も採択し支援しています。
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「株式会社ベアレン醸造所×盛岡りんご」によるシードル開発-
「有限会社秀吉×各種盛岡産農産物」によるお土産品開発
これらの事業はいずれも、盛岡産農畜産物の新たな活用を目指すものであり、地域農業と地域経済の活性化に向けて、事業者の皆様の意欲的な挑戦を引き続き積極的に支援してまいります。現在進行中の2事業についても、準備が整い次第、順次情報公開を行う予定です。
問い合わせ
盛岡市 農林部農政課食と農の連携推進室
TEL:019-626-2270