全国でも珍しい漆の品評会-4部門で色や粘り気などを審査

審査員は今年の6月から10月までに取れた漆の質を確かめながら品評した

審査員は今年の6月から10月までに取れた漆の質を確かめながら品評した

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 今年度の漆を品評する浄法寺漆共進会が10月20日、二戸市社会福祉会館(二戸市浄法寺町)で行われた。二戸市と岩手県浄法寺漆生産組が共催する。漆そのものの品評会は全国でも例がなく、同会には全国から漆器職人など関係者が大勢集まった。

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 今年で29回目を迎えた同会では、14人の漆掻き職人が今年掻いた(取れた)漆を出品。採取時期によって質が異なる「初辺」(6~7月ごろ)、「盛辺」(8月ごろ)、「末辺」(9月ごろ)、「裏目」(10月ごろ)の4部門で、それぞれ金賞、銀賞、銅賞が競われた。漆の品評は3人の審査員がヘラで漆をすくい取りながら丁寧に色や粘り気などを確かめ、およそ2時間程度かけて審査を終了した。

 今年の金賞は、初辺部門=鈴木健司さん、盛辺部門=大森俊三さん、末辺部門=横浜正男さんが、それぞれ選ばれた。

 現在の二戸市浄法寺町(旧浄法寺町)は国産漆の約6割を生産し、日本一の生産量を誇ることで知られる。同地域で生産された漆は2008年に世界遺産登録を目指す平泉の中尊寺金色堂や日光東照宮、1987年に行われた金閣寺の大修復などに使用されるなど、国宝や重要文化財の修理修復に欠かせないものとなっている。

 現在、日本国内で使われている漆の98パーセント以上が中国などからの輸入品が占めている中、浄法寺地域では1996年に同組合員が中心となって「日本うるし掻き技術保存会」を結成。以来、毎年全国から研修生を受け入れ、長年の経験で培ってきた技術、知識を惜しみなく伝えるなど漆の振興に努めてきた。

 二戸市の清川副市長は「今日の共進会には、全国から塗師も来場見学に来ている。今年度の漆の優劣を審査するだけでなく、共進会に来ることにより技術交流にもつながる」と話している。

 同会は来年も開催を予定している。

浄法寺漆器工芸企業組合(滴生舎)

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