
ヘーゼルナッツの栽培や自家焙煎(ばいせん)コーヒーの販売を行う「nomos(ノモス)」(滝沢市)が3月25日、海外産のヘーゼルナッツを加工した「はしばみナッツ」を発売した。
代表の内澤啓太さんは、自身が販売しているコーヒーと一緒に提供できるものを探す中、昭和30年代に岩手県林業技術センターでヘーゼルナッツ栽培の研究を行っていた記録を発見。「ナッツはコーヒーに合うし、栽培がうまくいけば岩手の新たな名産品にできないか」という考えで、2021年に試験栽培を始めた。ヘーゼルナッツが岩手の環境に適応できることを確認し、2022年に本格的な栽培を開始。2024年にわずかながら初めての実を収穫した。
内澤さんの元には「自分も栽培してみたい」という問い合わせもあり、県内での栽培者は増加。北は洋野町、南は一関市に広がり、全体での栽培本数は700本ほどになったという。「栽培する人を増やすという目標は達成しつつある」と内澤さん。「岩手は広く、同じ作物を育てても地域ごとに特徴が出たり、栽培に適する品種が異なったりする。ヘーゼルナッツにとってもより良い栽培環境が見つかるかも」とも。
生産者が増えたことで、次の目標は活用と販売の方法を用意することに移った。ヘーゼルナッツは製菓材料として使われることが多いことから、「ヘーゼルナッツそのものの形や味を知ってもらおう」とヘーゼルナッツをそのまま使った商品を考案。県内での収穫量がまだ少ないため、海外産のものを使って商品化した。
味は、「うまみ塩、」「うまみ醤油(しょうゆ)、」「キャラメル味噌(みそ)、」「自家焙煎(素焼き)」の4種類。商品化に向けて意識したのは「岩手らしさ」。塩やしょうゆ、みそ、しいたけパウダーなど県産の調味料を使うほか、県民になじみのある「甘じょっぱい」味付けを選んだ。素焼きはコーヒー豆の焙煎技術を生かし、コーヒー焙煎機でローストしている。
ヘーゼルナッツを使った商品全体を指すブランド名として、「岩手のヘーゼルナッツ」という意味を込めて「IWATEZE(イワテーゼ)」と名付けた。今後、県産ヘーゼルナッツの収穫量が増えれば、商品にも使用していく。
内澤さんは「収穫量が増えた時、どうやって売ろう、何に使おうと迷わないように先回りして道をつくっておこうと考えた。消費者にもヘーゼルナッツのことや岩手で栽培していることを知ってもらいたい。皆さんとの接点をこれからも増やしていければ」と意気込む。
価格は自家焙煎=550円、うまみ塩・うまみ醤油・キャラメル味噌=660円。nomosのECサイトで取り扱うほか、4月11日~13日に「らら・いわて盛岡店」(盛岡市内丸)で販売会を開く。