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岩手県立博物館で「ふしぎな縄文展」 縄文作品の自由な鑑賞を楽しんで

国の重要文化財「鼻曲がり土面」が来場者を迎える

国の重要文化財「鼻曲がり土面」が来場者を迎える

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 テーマ展「ふしぎな縄文」が現在、岩手県立博物館(盛岡市上田)で開かれている。

丁寧に作られた土器と形が崩れた土器を比べられる「ゆる~いデザイン」のコーナー

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 縄文時代の出土品の中には、作った目的や使い道、装飾の意味などが分かっていないものが数多くあるという。同展では岩手県内で出土した土器や石器、土偶などのうち目的や用途が分からず説明しづらい300点の資料を集め、「ふしぎな縄文」の世界を紹介していく。

 「縄文時代はまだまだ謎が多い。なぜ作ったのか、何を考えて作ったのか、なぜ模様や装飾を付けたのかという人間の心理的な要素を確かめるのは難しく、推測を重ねるしかない」と担当学芸員の高木晃さん。「よく分からない物でも見た目や構造が不思議で面白いところを楽しんでもらおうと展示を企画した」と話す。

 資料は、「ちょっとカワイイ土器」「気合の土器」「ゆる~いデザイン」「ふしぎな道具」などのテーマごとに展示。詳しい解説は付けず、小学生の男の子・文太、文太の祖父・縄じい、博物館のヨシ先生の3人のキャラクターの会話から見た目の特徴や推測される用途を簡単に紹介する。会話の内容も真面目な解説ではなく、見た目の面白さを楽しんだり、使い道を想像したりしている。

 展示の導入部分では一戸町で発掘された国の重要文化財「鼻曲がり土面」が来場者を迎える。「ちょっとカワイイ土器」のコーナーでは小ぶりな土器を紹介。「気合の土器」のコーナーでは、一般的に縄文土器として知られる形の大きく厚みのある土器や細かい文様が入った土器を紹介する。「ゆる~いデザイン」では、形や文様が崩れている土器も紹介する。高木さんは「出来の良い土器を作ったのは技術を持った職人で、緩いデザインの土器を作った人はまだ練習中だったかもしれない、という想像もできる」と話す。

 「ふしぎな道具」のコーナーでは土や石で作られた用途不明の道具を紹介。展示の後半では、人や動物などをモチーフにデザインされた土製品や、さまざまなスタイルの土偶も展示する。

 高木さんは「考古学的な研究成果を発表する展示ではなく、縄文時代の作品展のようなイメージ。現代人がなんだこれと思う物にも、縄文人にとっては何か重要な意味があったのかもしれない。縄文時代の出土品にはさまざまな説があるので、皆さんも自由に想像したり、考えたりして、わいわいと楽しんでもらえれば」と呼びかける。

 同展は8月25日まで。開館時間は9時30分~16時30分(入館は16時まで)。入館料は、一般=330円、学生=150円、高校生以下無料。同展開催期間中の休館日は8月19日のみ。

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