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遺跡の学び館で「盛岡城の石垣」展 身近な石垣の特徴と価値を知って

石を運ぶためのそり「修羅」の模型が来館者を迎える

石を運ぶためのそり「修羅」の模型が来館者を迎える

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 盛岡市遺跡の学び館(盛岡市本宮)で現在、開館20周年記念企画展「盛岡城の石垣」が開かれている。

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 国指定史跡の盛岡城跡では、2021年度から三ノ丸北西部北面の石垣修復工事を行っている。同工事が本年度で最終年度を迎え、1874(明治7)年に場内の建物の大半が取り壊されてから今年で150年がたつことから、盛岡市遺跡の学び館の開館20周年の記念に併せて盛岡城の石垣をテーマにした展示を企画した。

 同館館長補佐の菊地幸裕さんは「盛岡市民にとっては、公園の一部としていつも何気なく見ている石垣かもしれないが、全国の石垣と比べて珍しい特徴がある。盛岡城の価値は石垣にあると感じている」と話す。

 展示では盛岡城跡の概要や盛岡城の石垣についての解説に加え、石垣の積み方や各部分の名所といった基礎知識、盛岡城石垣の石材、石工職人が使用する道具と使い方を紹介。これまで行われた盛岡城石垣の修復工事と現在行われている工事で分かったことなども解説する。

 写真や文章などの平面的な情報だけではなく、立体的な情報で石垣について知ってもらおうと、さまざまな模型を用意。展示室の入り口には石垣に使う石材を運ぶ大型のそり「修羅(しゅら)」の模型と、本物の石材と同じ大きさの石の模型を設置した。石垣を造る様子を再現した模型は、石を人力でつり上げて積み重ねる作業や、側面から石垣の構造が分かる仕組みになっている。

 盛岡城の石垣は場所によって異なる積み方がされているのが特徴だという。「たとえば三ノ丸では、大きさの違う石を積み上げる乱積みと、同じような大きさの石を横に並べて積む布積みの両方が見られる」と菊地さん。盛岡城の石垣について解説するコーナーでは、石垣の写真を使って積み方の違いを紹介。城の近くで石材が取れていたことや、石を2つに割って石垣に使う「双子石」の存在などについても説明するほか、実物の石材のかけらを展示し、触ったり持ち上げたりできるようにする。

 「展示を見た後、現地で石垣を眺めながら積み方の違いを比べてもらいたい」と菊地さん。「そこにあることが当たり前だった石垣を、新しい知識を得た上で見てもらうと新しい発見があるはず。その発見が石垣だけではなく、盛岡城跡公園全体での新しい視点を楽しむきっかけになれば」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。月曜・最終火曜休館。入館料は一般=200円、小・中学生=100円。10月6日まで。

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