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盛岡・南昌荘で恒例の「ひなまつり」 時代を超えて受け継がれる思いも感じて

今年初めて展示された大正時代の古今びな

今年初めて展示された大正時代の古今びな

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 国の登録記念物、盛岡市指定の保護庭園・景観重要建造物で、いわて生協所有の「南昌荘」(盛岡市清水町)で現在、「南昌荘のひなまつり」が開かれている。

源氏物語の場面を描いた美しい「貝合わせ」

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 南昌荘のひなまつりは今年で24回目。県内外の20人から借り受けたひな人形やひな飾り、手作りの人形など約40組を邸内の3つの部屋を中心に華やかに飾り付け、来館者を迎える。部屋だけではなく廊下にも人形を並べ、邸内を回遊して楽しめるようにしている。

 飾られているひな人形は、古くは江戸時代から受け継がれてきた歴史あるものから、昭和時代の現代的なもの、陶器やフェルト、和紙、米粒といった変わった素材を使った創作ひな人形まで幅広い。今年初めて展示されたひな人形の一つで、盛岡市内の愛好家が所有する「古今(こきん)びな」は、女びなと男びなが大正時代もの、五人ばやしは江戸時代のものだという。100年以上たっているが状態が良く、大事にされてきたことが分かる。

 担当者の牧野典子さんは「現代のひな飾りは人形や小物がそろった状態で売られているが、昔は例えば最初はお内裏さま、次に三人官女というように少しずつそろえていた。古いひな飾りの人形がそろっていなかったり、見た目に違いがあったりするのは、そういった理由も考えられる」と話す。

 今年はNHK大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり、貝の形をした磁器に源氏物語の54場面を描いた「源氏物語貝合わせ」も注目を集めているという。「貝合わせはここ最近毎年飾っているが、今年は例年に増してじっくり眺める人が多い」と牧野さん。

 人形を展示する時も、女びなと男びなが少し向き合うような形にするなど、細かな工夫を凝らす。牧野さんは「時を超えて受け継がれるひな人形は、戦火や自然災害を乗り越え、厄をはねのけてこの時代にいる。大切にされてきた背景には、子どもたちの健やかな成長を願う思いも込められていると感じる。おひなさまたちの優しい姿で、皆さんの気持ちが少しでも明るくなれば」と話す。

 開館時間は10時~16時。月曜・火曜休館。入園料は大人=300円、小中学生=150円。3月3日まで。期間中、2月17日にはしの笛の演奏、18日には日本舞踊の演舞を予定している。

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