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岩手県立図書館に震災・防災の学び拠点 図書館の強み生かし、関連資料を集約

書架には数多くの震災・防災・災害関連の資料が並ぶ

書架には数多くの震災・防災・災害関連の資料が並ぶ

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 岩手県立図書館(盛岡市盛岡駅西通1)が4階部分に11月3日、震災復興や防災についての学び合いスペース「I-ルーム」を開設した。

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 同スペースを開いた場所は以前、視聴覚資料を閲覧するためのブースなどを設置していたが、年々利用者が減少傾向にあったという。新たな有効活用を検討する中、アイデアの一つとして出てきたのが、東日本大震災と復興、災害、防災についての資料を学ぶためのスペースだった。

 同館では東日本大震災の発災以降、震災や防災に関連する資料を集めてきた。蔵書数は開架・閉架合わせ、3万点を超える。同館の森本普也館長は「たとえば震災後の3月、4月の新聞は地方紙を含め40紙以上を収蔵している。このほかにも、被災地を訪れた職員が持ち帰ったチラシや広報誌、寄贈された資料もある。この資料を生かせる場があればと考えていた」と話す。

 「I-ルーム」の「I」には、豊富な資料との出合いや、愛と希望に満ちた岩手県に創造につながる拠点など、さまざまな「あい」を集めた。書架には、東日本大震災に関連するもののほか、自然災害、防災に関する本と資料を約1万点集約し、ジャンルごとに並べる。岩手県内に限らず、全国各地で発生した災害や過去に発生した災害、自然災害、防災に関連する資料を広く収集し、小中学生に分かりやすい内容のものも多くそろえたという。

 震災に関連するチラシ・広報誌については地域やタイトルごとに分けてファイリングしている。中には制作した自治体や団体に在庫がなく、ここでしか閲覧できないものもあるという。

 同スペースでは資料の閲覧のほか、復興関連の写真展示、震災・防災をテーマにしたワークショップや企画、資料のセット貸し出し、県内各地の震災伝承施設と連携した情報提供、探求的な学習の支援、事前予約による団体利用などを行う。

 同館では現在も震災関連資料の収集を続け、寄贈への協力も呼びかけている。森本館長は「なんでも個人で調べられる便利な時代になったが、その中には誤った情報も紛れている。正しい情報を得て、学ぶための支援をするのは図書館の役割の一つだと考えている。皆さんの身近にあるものが震災と復興の歩みを伝える資料になるかもしれない。I-ルームを利用する皆さんが対話し、互いに学び合える拠点になれば」と呼びかける。

 利用無料。団体・イベントについては事前予約が必要。開館時間は9時~20時。休館日はウェブサイトに掲載する。

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