都南図書館（盛岡市永井）の中高生向けコーナー「青春（アオハル）文庫」に、盛岡市内で行われる野外音楽イベント「いしがき MUSIC FESTIVAL」に出演経験があるアーティストのCDを展示するコーナーが設置された。

　「青春文庫」は同館の中高生向け蔵書が並ぶ「ヤングアダルトコーナー」の一角に2020年に開設。小説や雑誌、漫画、専門書などを揃え、利用者からも好評を得ている。同コーナーの選書を担当する菅野恵子さんは以前から「青春文庫に中高生向けのCDやDVDを並べたい」と提案してきた。「来館していた中学生にCDを薦めた時、『これはどうやって聞くの？』と尋ねられたことがある」と菅野さん。「CDの聞き方が分からない子どもたちに驚きはしたが、図書館が初めてのCDとの出合いの場になるかもと考えた」と話す。

　その後、ほかの職員が青春文庫用に新たに購入したのが、「いしがき MUSIC FESTIVAL」に出演経験がある岩手ゆかりのアーティストの楽曲CDだった。「中高生向けのコーナーに置くことで、地元で開催される大きな音楽フェスや、地元で活躍するアーティストの存在を知ってもらいたい」という思いを込めての選定だったという。

　コーナーの設置に当たり、菅野さんは装飾が得意な職員に飾り作りを依頼。「いしがき MUSIC FESTIVAL」の会場となる盛岡城跡公園の石垣やイベントのロゴを再現した装飾を施した。展示するCDは、SWANKY DOGSや日食なつこさん、SaTo Mansion、FUNNY THINKといった岩手出身アーティストのほか、東日本大震災の復興支援に携わってきた10-FEETやBRAHMAN、Ken Yokoyamaなどのアーティストが並ぶ。

　このほか、中高生向けのCDとして名作文学を人気声優が朗読する「朗読喫茶 噺（はなし）の籠」シリーズも新たに展示。作品のタイトルや作者は知っていても、物語の内容は知らないという中高生に向けて「耳から名作に触れてもらえたら」という思いを込めた。「いしがき MUSIC FESTIVAL」コーナーと共に貸し出しも好調だという。

　菅野さんは「青春文庫の選書には、職員の皆が力を入れて、さまざまなアイデアを出してくれている。そのおかげで棚が充実してきた。音楽や名作との出合いは何がきっかけになるか分からない。たくさんの人が来る図書館という場所でこのコーナーがふと目に入った時に、地元アーティストや名作文学を知るきっかけになれば」と呼びかける。

　開館時間は9時～18時（土曜・日曜は17時まで）。月曜休館。