もりおか歴史文化館前広場で3月11日、東日本大震災12周年行事「祈りの灯火(ともしび)2023 ~つたえる・つながる・ささえあう~」が行われた。
色鮮やかな「田老式灯籠」には、絆など力強いメッセージが刻まれる
「祈りの灯火」は、2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災で犠牲になった多くの人への鎮魂と被災者の心の平安、被災地の復興を祈るとともに、これからも支援活動を行うことを誓うため、2012(平成24)年から毎年開催している。
今年は犠牲者の十三回忌に当たる。会場中央部には祈りの場を設け、14時40分からは盛岡広域8市町の首長、被災者、市民による追悼式も行われ、発災時刻の14時46分に黙とうをささげた。
17時からは会場内に並べられた牛乳パックを材料にしたオリジナル灯籠や、宮古市田老地区で考案された「田老式灯籠」など約1万個に火がともされた。灯籠は市内各所で行われた製作会で作られたものや、学校、企業、団体から寄せられたもののほか、全国各地のボランティアから届いたものもある。
実行委員会委員長の吉田光晴さんは「今年のテーマは『つたえる・つながる・ささえあう』。コロナ禍もあり、つながる場面は減ってしまったが、震災のことを伝え続けながら、この場所でつながり合い、みんなで支え合う空気感をつくり出せれば。集まった灯籠はそれぞれ違うが、火をともせば大きな1つの光になる。ここに集まった皆さんの気持ちも違っていると思うが、それが一つとなる空間になれば」と来場者へ伝えた。
点灯式では主催者の盛岡広域首長懇談会を代表し、谷藤裕明盛岡市長が「この12年間、皆さんがさまざまな思いを胸に復興を願ってきた。震災の記憶や教訓をこれからも語り継ぎ、次世代へとつないでいく。灯籠からに込められた熱い思いが、復興を押し進める強さになっていると感じる。皆さんと共に未来へ歩むことを誓い合いたい」とあいさつした。
点火式の後、会場内の灯籠へ次々に火がともされ、会場に集まった多くの人が光を見守った。震災後、大槌町から盛岡へ移住したという男性は「この場所で1年ぶりに友人と再会した。震災当時を思い出すことは今もまだつらいが、祈りの灯火は普段はなかなか会えない人と近況を話したり、身近な人と防災を考えたりする機会になっている。これからも続けてほしい」と話す。