見る・遊ぶ

盛岡の現役書店員が初の著書 「地元に根付くこと」をテーマに、仕事振り返る

「本屋、地元に生きる」の表紙

「本屋、地元に生きる」の表紙

  • 0

  •  

 「さわや書店」(盛岡市大通2)の栗澤順一さんによる著書「本屋、地元に生きる」が2月22日、KADOKAWAから刊行された。

[広告]

 現在、「さわや書店」の外商部兼商品管理部部長を務める栗澤さん。出版社との交渉やイベントの企画、書評の寄稿、ラジオ出演、出張販売など、一般的な書店員のイメージとは離れた仕事に取り組み、4月ごろまでは教科書販売で忙しい日々を送っている。その中で、本の準備は3年ほど前から始めていた。

 「オリジナルのしょうゆを造って販売したこともあった」と栗澤さん。自分の仕事を「何でも屋」と表現する。「書店にいて接客や棚作りをしている書店員とは違う、私のような書店員もいる。どうしてそのような『何でも屋』になったのか、どんな仕事をしているのか、自分がしてきた仕事を一度まとめてみてもいいのかなと考えたのが、本を作るきっかけになった」と話す。

 同書では「さわや書店」が取り組んできたことを振り返りながら、同社の名物書店員の話や、栗澤さん自身の仕事の紹介、地域との関わり、書店業界の今後などについて書いている。テーマの一つとして掲げているのが「書店が地元にあるということ」。「地元に根付き、そこで生きていくこと」という思いをタイトルに込めた。巻末には元・さわや書店店員の田口幹人さんとの対談も掲載し、「小さな本屋をいかに持続していくか」などの題材について語り合う。

 栗澤さんは同書の中や表紙で「“待ちの本屋”から“使ってもらう本屋”へ」という表現をしている。「売り場を重視して、店に人が来るのを待っているだけではなく、本を売るにはたくさんのルートがあると思う。イベントや出張販売もそのルートの一つ。地域の中に、本に触れる場所をたくさん作るのが自分の仕事。もっと書店員のことを頼って、使ってもらいたい」と意気込む。

 同書について栗澤さんは「地元の皆さんや、書店員として現場で働く人にも手に取ってもらいたい」と期待を込める。「書店員は誰でもできる仕事ではないということも伝えたい。書店の中にはまだたくさんの可能性があると感じている。一般の人や地元の皆さんにもこの本を通じて書店や書店員を身近に感じてもらいたい」と呼びかける。

 四六判、224ページ。1,650円。

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース